【解説】ここまで上げるとは…“トランプ関税”34% 中国どう出る? 新たな“戦略”も
アメリカのトランプ大統領が発表した相互関税。中国は34%の関税の上乗せを通告されましたが、中国国内はどのように受け止めているのでしょうか。北京にいるNNN中国総局・柳沢高志総局長に伝えてもらいます。
──中国国内の受け止めはどうでしょうか?
想定外の高関税に衝撃が走っています。中国政府のある関係者に聞きましたら『ここまで上げるとは思わなかった。習近平国家主席も頭が痛いだろう』と、中国政府の人には珍しく弱気な言葉まで聞かれました。
──中国は、今後どう対応するのでしょうか?
まだ具体的な内容は明らかにされていませんが、中国側が輸出規制なども含めた、新たな報復措置に踏み切ることは間違いないとみられます。
他方で、中国が進めているのが、“アメリカを孤立させる”戦略です。
その戦略が透けて見えたきっかけが、日曜日(先月30日)に日中韓の3か国が開いた経済関連の会合です。この会合について中国国営メディアは「トランプ政権の関税強化措置をめぐって、日中韓の3か国が共同で対応することで合意した」と、まるで日本と韓国が中国と組んでアメリカと対抗するかのように報じました。
これに日本側は「そんな合意は全くなかった」と全否定。ある日中関係筋は、「完全に中国側の勇み足だった」と裏事情を明かしました。つまり、「中国は実際にはなかった日中韓の合意を、『合意があったんだ』と盛ってまで、3か国の結束をアピールしたかったのでは」というのです。
中国としては、トランプ関税に世界が反発する現状を利用して各国を自分の陣営に引き寄せようと考えているようです。
──中国側はアメリカとは交渉しようとしないのでしょうか。
そこも注目すべきポイントなのですが、実はトランプ政権が発足以降、まだ電話会談も含めて米中の首脳会談は一度も行われていません。
なぜかというとアメリカが全てのカードを切るまで待ってきたとみられます。もし習主席がトランプ大統領と会談した後に、新しい関税を課されたら、習主席のメンツが丸つぶれになってしまうからです。
ただ、今回の発表で、トランプ政権の手の内、ほとんど出し切ったともみていて、今後、首脳会談などで事態打開を目指す可能性もあります。