「初日の出」 リアルと中継どちらも楽しむ
元旦。初日の出を見た人も多いと思います。今年は新しい年の始まりに、ちょっと変わった初日の出鑑賞も行われたんです。
港町横浜にある赤レンガ倉庫。ここは大きな船やレインボーブリッジを横に添えた初日の出が拝める人気のスポットです。
そこを元日に訪ねてみると、目に広がってきたのは岸から50メートルの海の上に浮かぶ巨大なモニター。その大きさは縦5メートル、横55メートルもある巨大な横長の12Kワイドビジョンです。このモニターを使って高知県や長崎県など人気のスポットの初日の出も中継で見られるというのです。
まずは横浜の初日の出を直接拝みます。元日の横浜の日の出は午前6時50分。徐々に空が明るくなり、レインボーブリッジの脇から2022年最初の日が昇ります。訪れていた500人ほどがオレンジ色の光に包まれ「今年はいい年になるように」と願う瞬間です。
「リアルな初日の出」を拝んだ後は巨大モニターに目を移します。7時10分に高知の桂浜、そして7時22分には長崎の稲佐山。それぞれの初日の出がライブで中継されました。
いずれも横浜とは違った表情の初日の出を見ることができます。また、海に浮かんだ巨大モニターを見ていると、実際に現地で見ているような気分も高まります。
さらに画面に映されたのは地球。なんと宇宙から見た初日の出も中継されたのです。ISS(=国際宇宙ステーション)にあるKIBO(きぼう)宇宙放送局から見た地球と、その向こうから太陽が上がってくる様子です。
ISSは地球1周を90分で周ります。つまり90分周期で日の出を見ることができるのですが、その分太陽が上がってくるスピードも速くなります。まるで早送り映像を見ているかのようなスピーディーな初日の出中継となりました。
人気スポットから宇宙までの「初日の出中継リレ-」。この展示を企画したのは通信大手のNTTです。なぜこのような展示をしたのか話を聞くと、実はこのモニター、去年行われた東京オリンピックのセーリング競技会場となった江の島で使われたものでした。
セーリングは沖合で行う競技で、通常観客は双眼鏡などを使って観戦します。NTTは複数のドローンを使って撮影した映像をリアルタイムで組み合わせ、横長のモニターに映すことで、新たな観戦スタイルを提案しました。
しかし去年のオリンピックは新型コロナの感染拡大で無観客での開催となったため、この新たな観戦スタイルは関係者や選手の家族など限られた人しか体験できませんでした。そこでNTTは多くの一般客にお披露目できる機会として、この初日の出を選んだということです。
NTTは「中継先の天気が不安だったが、元旦本番はすべての場所が天気に恵まれ、多くの人に美しい日の出をお伝えできたと考えています」と話しています。
初日の出とともに無事にお披露目された海に浮かぶ巨大モニター。NTTは「今後も、より臨場感の高い観戦や鑑賞を体験いただけるような研究を進めていきたい」としています。