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日の丸電機、完全復活なるか

2014年1月5日 23:11

 長らく低迷が続いた電機業界に、復活の兆しが見え始めている。2013年度の決算は、大手8社(パナソニック、シャープ、ソニー、日立製作所、東芝、富士通、三菱電機、NEC)全てが最終黒字になる見通し。2014年度も、不振事業からの撤退や得意分野への集中投資などの再建策に加え、アベノミクスなどによる円安や景気回復の流れに乗り、さらなる業績改善を狙う。

 電機各社はここ数年、地上デジタル放送移行後の薄型テレビの需要急減や、韓国や台湾をはじめとする新興国の追い上げ、円高などの影響で大幅な赤字を計上。2011年度、主に一般消費者向けの家電を製造・販売するパナソニック、シャープ、ソニーの3社の赤字額はそろって過去最悪となった。

 パナソニックは、一般消費者向けの家電を扱う「BtoC」事業から、自動車メーカーや住宅関連企業などに製品を納める「BtoB」事業へシフトする計画。2013年度決算は、2期連続の大幅赤字からV字回復し、黒字転換を見込んでいる。

 一時は経営破たんも懸念されたシャープは、大規模なリストラ、サムスン電子との提携など大幅な構造改革を断行。景気回復や円安などの追い風もあり、2013年度は黒字化を達成できる見込みだ。

 ソニーは、得意分野であるデジタルカメラなどに使われるセンサー技術を、将来性が見込まれる医療分野に活用。執刀医が実際に見ている手術の様子を、サポートする人たちもそのまま3D映像で見られる機械の開発などを進めている。

 一方、発電所や鉄道、エレベーターなど社会インフラを手がける日立、東芝などの総合電機メーカーは、家電メーカーより一足早く薄型テレビやスマートフォンなどの不振事業から撤退、それぞれの得意分野に集中投資する構造改革に取り組んできた。

 今後は、景気回復と、オリンピックの開催などで設備投資需要が増えると予想され、業績改善の加速が期待されている。