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障害や年齢に配慮…ソニー開発の背景 「使いづらさの解消」が「みんなの便利」に

2023年10月13日 6:11
障害や年齢に配慮…ソニー開発の背景 「使いづらさの解消」が「みんなの便利」に
ソニー・インタラクティブエンタテインメントが開発したAccessコントローラー
ソニーは、2025年4月以降に発売する全ての主要製品に「障害者や高齢者にとって使いやすい」という考えを取り入れていくとしています。こうした取り組みの背景には何があるのでしょうか。(解説委員・安藤佐和子

■ソニー 全主要製品で障害者などに配慮 企業利益との両立は?

ソニーの今回の取り組みのもととなっているのは会社のパーパス、つまり“会社の存在意義”をソニーは「世界を感動で満たす」と掲げています。

“世界には障害や高齢のために、何らかの制約を抱えている人が6人にひとり、13億人いる”と指摘し、障害や年齢にかかわらず、商品、サービス、コンテンツを利用できるようにしたいとしています。

とても意義ある取り組みであることは確かです。ただ同時に、企業なので、コストをどう考えるのかも気になるところです。「良いことなのでボランティア精神で企業の負担が多くてもやろう」というわけにはいきません。

ソニーは「サステナブル=持続可能にするためには、ビジネスとして成立させることが必要だ」としています。つまり、負担が多すぎれば長く続けることはできなくなるからです。

従来のものと違うものをつくろうと思えば、開発費など余計にコストがかかるのではないかと思いますが、取材で、そう“単純なこと”ではないことがわかりました。製品開発は、障害者や高齢者の方々に聞き取りしながら行うそうですが、そうした方々の「使いづらさ」を解決することが、より幅広い人に便利な機能になることにつながるというのです。

■競争力の向上にもリンク 他企業への広がりは…

たとえば、写真を撮る際にちゃんと水平になっているかどうかを色で知らせるという機能がありますが、視覚障害の方のために音で知らせる機能を追加したところ、一般の人にとっても、「高く手をあげて撮影する時に画面を見ないで水平かわかるので便利だ」とわかったということです。

このように、障害のある方のニーズに応えていくことが競争力を上げていくことにもつながっているのです。

こうした、障害のある方などが使いやすい商品の開発はソニー以外の企業でも同じような規模で広がっていくのでしょうか?

◇障害者のみならず、幅広い消費者の信頼度の向上
◇企業価値の向上、しいては株価の上昇
◇従業員のやりがいのアップ、志の高い働き手が集まってくる

こうしたプラスの効果に加え、各企業が自社の社会的存在価値の向上に目を向け、一層取り組みが広がり、多くの人にとって優しい商品の普及につながっていくことが期待されます。

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