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富士通・磯部CFO「郵便局長らに深くおわびする」 “イギリス史上最大のえん罪事件”決算会見で陳謝

2024年1月31日 15:49
富士通・磯部CFO「郵便局長らに深くおわびする」 “イギリス史上最大のえん罪事件”決算会見で陳謝

イギリスの郵便局を舞台にした「史上最大のえん罪事件」をめぐり、責任の有無などが問われている富士通の決算会見が開かれ、磯部武司取締役(CFO)は「厳粛に受け止めている。郵便局長らに深くおわびする」と陳謝しました。また、被害者への補償や業績への影響についても言及しました。

富士通の第3四半期決算会見は31日午後3時半から始まりました。当初の予定通り、時田隆仁社長の出席はありませんでしたが、冒頭で磯部CFOがえん罪事件について「厳粛に受け止めており、郵便局長およびそのご家族の皆様に深くおわび申し上げます」と謝罪しました。

そのうえで、「現在、イギリスで法定調査が進められており、今後も引き続き協力していく。調査への対応方針等については本社の取締役会がしっかりと監督している。被害者の方々にとって公正な結果が得られるよう早期の解決を望んでいる」と述べました。

また、被害者への補償については「調査の進捗や内容を踏まえ、関係者と対話をしながら適切に取り組んでいく」とし、えん罪事件が業績に及ぼす影響については「精査中であり、現時点で明確に数値化できていない」と説明しました。

この事件は、1999年から富士通のイギリスの子会社が納入した会計システムによって会計記録と郵便局の残高が一致しなくなり、郵便局長ら700人あまりが横領や詐欺などの疑いで訴追されたものです。その後、2019年に裁判所がようやくシステムの欠陥を認めましたが、有罪判決が覆されたのはまだ一部にとどまっています。

イギリスではいったんは過去の話として一般の人たちの記憶から遠のいていたものの、今年の元日から事件を題材にしたドラマが放映され、イギリス国民の事件への怒りが噴出する形となりました。

16日にイギリス議会に出席した富士通のヨーロッパの責任者を務める執行役員は「不具合があることは当初からわかっていた」と認め、時田社長も同じ日、イギリスの公共放送「BBC」の取材に対し、「郵便局長やその家族の人生に壊滅的な影響を与えたことをおわびする」と謝罪しています。

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