「乳製品」11月から値上げ 牛乳生産者“エサ代高騰”で苦境に ウクライナ情勢・円安の影響で…
11月から、大手乳業メーカー各社が市販の牛乳などの乳製品の値上げを一斉に実施しました。牛乳の生産者はウクライナ情勢や円安の影響を受けて牛のエサ代が高騰し、苦境に陥っているということで、今回の値上げでは生産者が潤う状況にはならないといいます。また外食チェーンでも値上げが実施され、家計への影響はしばらく続きそうです。
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1日夜、東京・渋谷区にあるパブ「THE SHAKE&CHIPS TOKYO」を取材しました。この店の看板ドリンクは、クリーミーなシェークです。食事中の2人組の客が「どうする? シェークはさむ?」と相談しあい、注文したシェークが届くと「かわいい!」との声を上げていました。
相次ぐ値上げの波は、この“シェーク”にも迫っていました。
パブの店長
「乳製品がメインの商材でもあるので、そこが上がってきたのはちょっと…大きなところではあります」
チーズや牛乳などの乳製品の仕入れ値が、徐々に上がってきているということです。
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東京・葛飾区にあるケーキ店「森のケーキ屋 どんぐり」では1日、生クリームをたっぷり使ったケーキや、アイスケーキの仕込みをしていました。材料の仕入れ業者とのやりとりが話題になりました。
ケーキ店店員
「業者さんも遠慮しがちですよね。『申し訳ないんですけど…』って。今までの値上がりの仕方じゃないもんね」
「news zero」が昨年11月にこの店を取材した際には、店長はクリスマスケーキのシーズンを前にして、イチゴの価格高騰を気にしていました。「イチゴはもう、どうしようもない。これからの時期、なくちゃ困るので…」と困惑した様子をみせていました。
今年、気になるのは、洋菓子に欠かせない牛乳の値上がりです。
ケーキ店 店員
「これは普通の牛乳かな」
「多い日は5~6本とか、もっと使う日もあるかな。『乳製品も(今後仕入れ値が)上がりますよ』と言われて、じゃあ、いくらとればいいんだっていう。『去年と全く同じ値(販売価格)では、無理だな』とは思っています」
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1日午後、東京・墨田区にあるスーパーを訪ねました。1日から値上がりしたのは、市販の牛乳やヨーグルトなどの乳製品。社長に話を聞きました。
――いくら上がった?
スーパーの社長
「10円アップしましたね」
在庫があるものはまだ据え置きですが、1日の仕入れ分から順次、値上げします。1日から大手乳業メーカー各社が一斉に値上げしたためです。
牛乳は森永乳業が3.8%~10.2%、雪印メグミルクが5.8%~9.6%、明治が2.8%~5.5%、値上がりします。またヨーグルトも各社それぞれ10円値上がりします。
スーパーの社長
「『いつ(値上げが)止まるのかな』というような。ちょっとつらいですね、売る方にしてみると」
買う側の消費者にも聞きました。
女性
「なるべく安いものを探して、買うようになっている気がします」
――牛乳でいうと?
男性
「週3本くらいですかね。おやつに子どもが飲んでる。定期的に買うものなので、(価格は)安定してほしいと思う」
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今回の値上げは、生乳の買い取り価格を引き上げたことなどが要因です。埼玉・上尾市で、牛乳の生産者に聞きました。
牛乳の生産者
「こちら側が牛が毎日食べているエサになります。この穀物が去年より2割近く値段が上がってきて、経営を圧迫する要因になっています」
ウクライナ情勢や円安の影響を受けて牛のエサ代が高騰し、苦境に陥ったということです。今回の値上げでは生産者が潤う状況にはならないといいます。
牛乳の生産者
「消費者のみなさまに、1杯でも余分に牛乳を飲んでいただければなと」
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また、外食チェーンでも11月から値上げが実施されます。「餃子の王将」は、19日から餃子など定番メニュー35品を最大50円値上げします。「ミスタードーナツ」は25日からドーナツやパイ、マフィンなどを最大30円値上げします。
家計への影響は、しばらく続きそうです。
(11月1日放送『news zero』より)