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池上彰が解説“2024年の暮らし”どうなる?家計の負担子育て支援の拡充、賃上げへの期待【バンキシャ!】

2023年12月25日 12:15
池上彰が解説“2024年の暮らし”どうなる?家計の負担子育て支援の拡充、賃上げへの期待【バンキシャ!】

物価高に翻弄された2023年でしたが、2年にわたった値上げラッシュが「当面収束する」という分析もある2024年。子育て支援の拡充や賃上げへの期待、景気回復の見込みなど、私たちの暮らしはどうなっていきそうか、池上彰さんの解説です。【バンキシャ!】

池上
はい。では、こちらをご覧ください。高校生と中学生の子供がいる4人家族をモデルにして説明していきますね。この家族は2023年、物価高で困ったことがあったそうです。それはもちろん「食費が高い!」ということですね。卵が値上がりしましたし、冷凍食品などもやっぱり食卓に響きましたよね。子供も育ち盛りですからね、本当に家計のやりくりは大変だったと思うのですが、では、来年はどうなるのかということです。
帝国データバンクによると、2023年、値上げされた食品は、なんと3万2395品目。よく数えたな、と思うんですけどね。それが2024年はその3分の1未満の、約1万品目になるというんですね。
結局、値上がりは続くんですけど、でも品目が3分の1くらいになるということなんですね。食品メーカー195社への調査から、「およそ2年にわたる値上げラッシュは、当面収束するとみられる」と分析しているんですね。

後呂
ちょっとだけですけど安心しました。値上げ、値上げの1年だったので、井上さんはこの値上げの1年どんなふうに過ごしましたか?

井上
2023年は結構、詰め替えばかり買っていました。ティッシュとかも箱で買うよりもビニール袋に入っているタイプがあるんですけど、あっちの方が安いんですよ。なのでティッシュケースを買って、その中に詰め替えて入れて、シャンプーもそうしていたんですけど。
あと、ちょっといいハンドソープをプレゼントでもらった容器をとっておいて、その中に大容量の安いハンドソープを入れて、お客さんに見られるところだけ“いいもの”に見せていました。

池上
手洗うときにお客さんに匂いでバレませんかね。

井上
“全バレ”です。バレるだろうなと思ってました。

池上
先ほどの4人家族も、値上げで困ったのは、食品だけではないわけですね。お父さんとお母さんはいつも、エアコンなど「光熱費が高い!」「ガソリン代が高い!」と嘆いていました。遠出もなかなかできなかったのかもと思うのですが、では、来年どうなるかといいますと、5月以降、電気代やガス代、ガソリン代などを下げるために出ていた、政府の補助金がなくなる可能性があるんですね。


これまで出ていた補助金がなくなるということは、私たちは余計に払わなければいけない…。

池上
その通りなんですね。来年の家計の負担がどうなるか、こんな分析があります。第一生命経済研究所によると、4人家族の場合、2024年は年間11万4000円、負担が増える可能性があるというんです。
その一方で、政府が物価高対策として2024年、1人あたり4万円の所得減税を行う方針ですので、この4人家族だと16万円になるわけです。つまり、11万4000円負担が増えても、16万円分減税となれば、結果的に家計は助かる、と分析しているんです。
ただ、この所得減税は2024年限りの見込みですし、予想以上のインフレが起きた場合には、結局、減税の額よりも家計の負担が大きくなる可能性があるということなんですよね。


しかも池上さん、このご家庭の場合ですけども、お子さんがいると教育費が特に高いじゃないですか。このあたりはどうなっていきそうでしょうか。

池上
物価高に悩まされ続けてきたこちらの家族ですが、やっぱり「家計が助かる!」と期待しているものがあるんです。それが「児童手当の拡充」ですね。これまで、対象は0歳から中学生まででしたが、来年からは高校生の年代まで広がるんですね。この家族の場合、これまで下の中学生の分、月1万円のみの給付でしたが、2024年12月から上の高校生の分も支給されまして、合わせて2万円が支給されます。
そして、それだけではないんですね。政府は、3人目の子供以降は、月3万円を支給するという方針なんですね。つまり2024年、もしこの家族に子供が増えた場合には、さらに3万円が支給される。つまり児童手当があわせて5万円支給されることになるわけですね。


このあたり子育てに対する分厚い支援策には、政府の狙いというものが感じられますね。

池上
そうですね。やはり出生率を上げたいという思いがあるということですよね。教育費にはお金がかかり過ぎるので、何とか子育て世帯の負担を減らしていこう、それによって少しでも出生率を上げたい、という政府の思いがあるでしょう。
2022年の日本の出生率は、過去最低の「1.26」です。「2.01」くらいないと、人口を維持できませんからね。どんどん減っていくわけですよね。まずはこれを少しでも上げていくこと。それなのに、大学の授業料無償化や、児童手当の3万円への増額も3人目からなんです。出生率を「2」に近づけたいというのであれば、本来なら2人目から支援を厚くしてもいいのではないか、という意見もあるわけですね。お金が原因で子供を持てないとか、我慢しようとかいうことがあっては、やっぱり悲しいことだなと思いますよね。

後呂
日本の人口減少をとめるためにも、宮田さん、より有用な対策というのはあるのでしょうか。

宮田
1つは、デジタルを使うということです。今までは一律の支援しかなかなか難しかったんですよね。ただコロナの給付金のときもそうでしたが、デジタルをうまく使えるか。必要なタイミングで、必要な支援を、必要な人に届けられたんですね。なので子育てのなかで苦しい人たちにピンポイントで支援を届けることで、産みさえすれば社会全体で育てることができる、こういった安心感が改善につながっていくんじゃないかと思います。


ここまで出て行くお金について中心にお話しましたが、続いては、肝心の入ってくるお金、つまり「賃金」については池上さん、どうなっていくのでしょうか?

池上
この4人家族の場合も、物価高が進む中で2人の子供を育てる両親からも「賃金を上げてほしい…」と切実な声が聞かれると思うんですよね。
東京商工リサーチが大企業から中小企業まで、4581社にアンケートしたところ、2024年、賃上げをすると答えた企業は8割(82.9%)を超えたんですね。ただ、どれくらい賃上げをするのか内訳を見ますと「2023年を超えそう」だと答えた企業は「11.6%」と、わずか1割程度なんですね。「2023年と同じ程度になりそう」と答えた企業が最も多くて「51.5%」。一方、「2023年を下回りそう」だと答えた企業が「19.7%」でした。


ということは、結局どうなりそうなんでしょう?

池上
全体としては、うんと大きな賃上げまでは、あまり期待できそうにないなということですよね。ちょっと個人的なことを言いますとね、私が社会人になったのは昭和48年、1973年だったんですが、初任給6万8千円だったんですね。


当時はそういう時代ですね。

池上
それが翌年には8万円になったんですよ。いきなり1万円以上(給料が)上がったんですよね。当時はどの企業も1万円以上、毎年上がっていく、という右肩上がりだったんですね。物価ももちろん“狂乱物価”と言われるぐらい、激しく上がっていったんですが、それに追いつくか、それ以上に、実は給料も上がっていたというわけなんですね。なので私、当時、給料の何倍もする25万円の軽自動車の中古車をローンで買うことができたというわけです。


だいぶ赤裸々におっしゃいますね。

池上
現金ではとても買えなかったんですけど、これから給料が毎年1万円ずつ上がっていけば、これは返済できるなということですよね。


貯金が無くても、期待があれば、人はお金を使うと…。

池上
その通りなんですよね。当時まわりを見ていても、どうせこれから(給料が)上がるから、住宅ローンの返済の負担がだんだん軽くなっていくといって、マイホームを検討したり、いろいろな車を買うという人たちが結構いたんですよね。
やはり景気を良くするためには来年、再来年、さらに給料が上がっていくよという期待を、どれだけ国民に持たせることができるのか。あるいは、格差がうんと広がるとですね、お金持ちがいくら贅沢をしても、たいした消費の額にはならないんですね。いわゆる“分厚い中流層”という人たちが、生活のためにお金を使う、それが結果的に経済を動かしていく、ということになるんだろうと思うんですね。
とにかく今は給料がそれほどでもないけど、来年も再来年も上がっていくよという気持ちが明るくなってくると、やはり景気は良くなる。景気の「気」は気分の「気」。やっぱり気持ちが明るくなってこそ景気は良くなっていく。国民にそういう気持ちを与えるのが政治家の役割だと思いますね。

後呂
まずは、本当に基本の基本給が上がって、安心できると景気も良くなっていくんですかね。

*12月24日放送『真相報道バンキシャ!』より

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