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【解説】日銀総裁へ…戦後初の“学者出身”植田和男氏を起用へ 私たちの生活への影響は

2023年2月13日 20:32
【解説】日銀総裁へ…戦後初の“学者出身”植田和男氏を起用へ 私たちの生活への影響は

政府は、日本銀行の次期総裁に元・日銀審議委員の植田和男氏を起用する方針を固めました。政府は14日、副総裁を含めた人事案を国会に提出します。サプライズ人事となった植田氏の起用。新たな総裁となれば、私たちの生活はどうなるのでしょうか。

●“異例”の人事
●“副作用”どうする?
●住宅ローンへの影響は?

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■“初の学者出身”植田氏のプロフィール 「量的緩和」「ゼロ金利」に理論的な裏付け

植田氏は東京大学の教授を経て現在は名誉教授となり、共立女子大学の教授でもあります。1998年、日本銀行政策委員会の審議委員に46歳という異例の若さで就任し、2005年まで務めました。

政策委員会とは、「日銀の最高意思決定機関」と言われ、重要な意思決定はこの政策委員会での議論を経てなされます。植田氏は審議委員を務めている間、市場に出回るお金を増やす「量的金融緩和策」や金利を限りなくゼロ近くまで誘導する「ゼロ金利政策」を導入する際に、経済学者として理論的な裏付けをしました。金融政策では「日本の第一人者」とも言われ、主要国の中央銀行の幹部とも親交があり、国際金融の世界でも名前が知られています。

先週に突然、名前が挙がった植田氏は10日、メディアの取材に応じました。“もし総裁をやるとしたら…”との質問に「学者でずっと来ましたので、いろいろな判断は論理的にするということと、あと説明をわかりやすくするということが重要かと思います」と答えていました。

植田氏が日銀総裁に就任すれば、戦後初の“学者出身の総裁”になります。平成に入ってからの総裁だけを見ても、日銀出身者か旧大蔵省の出身者でした。

1989年 三重野康氏 日銀出身
1994年 松下康雄氏 旧大蔵省出身
1998年 速水優氏  日銀出身
2003年 福井俊彦氏 日銀出身
2008年 白川方明氏 日銀出身
2013年 黒田東彦氏 旧大蔵省出身
(日銀HPより)

市場は“次期総裁は日銀出身者で、特に副総裁経験者の可能性が高いのでは”とみていました。しかし、ふたを開けてみると予想に反して、初の学者出身の植田氏を起用する方針を固めるという“サプライズ人事”となった形です。

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■そもそも「日本銀行」「日銀総裁」とは?