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トランプ氏が日本時間の21日未明に就任へ 政策激変で福岡の経済への影響は 九州電力社長に聞く

2025年1月20日 19:16
トランプ氏が日本時間の21日未明に就任へ 政策激変で福岡の経済への影響は 九州電力社長に聞く

日本時間の21日未明、ドナルド・トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任します。「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ氏の就任は、福岡で暮らす私たちにとってプラスなのでしょうか、マイナスなのでしょうか。

■トランプ氏
「私たちの国をかつてなく偉大にする。4年間の長い衰退に幕を下ろし、 アメリカの強さと繁栄、尊厳と誇りに満ちた新しい時代が幕を開ける。」

第47代アメリカ大統領への就任が目前に迫ったトランプ氏。日本時間の20日、「あすから歴史的なスピードと力で行動する」と強調しました。

そのトランプ氏の看板政策の一つが「関税の引き上げ」です。貿易赤字の削減と国内製造業の回復を目指し、日本を含む各国からの輸入品に新たに10~20%の関税をかけるとしています。特に中国に対しては、60%の関税をかけることを打ち出しています。

さらにトランプ氏は大統領就任の初日に、中国に対する10%の追加関税を、また国境を接するメキシコとカナダに対しては25%の関税を課す大統領令に署名すると表明しています。

そのトランプ氏の大統領就任による福岡への影響について、民間の調査機関である九州経済調査協会の渡辺隼矢さんは、ある懸念を示します。

■九州経済調査協会・渡辺隼矢さん
「日本からアメリカに輸出する特に自動車、九州・福岡では自動車に影響が出てくるのではという懸念があります。製造業の落ち込みは雇用の減少につながりかねないので、そこが影響が出る懸念というところ。」

福岡県の主力産業の一つである自動車業界は、部品の製造を含め影響が出る可能性があると指摘します。その一方で、現状で、先の見通しを立てるのは困難だとみています。

■渡辺さん
「これから施策がどう動いていくか次第。正直まだまだ、なんとも言えない不確実性が高い状況。」

その理由として、トランプ氏が第1次政権時に関税を交渉材料にしていたことや、石破総理がトランプ氏とどのような関係を構築し、日本が何を要求されるか不透明な点が多いことなどを挙げています。不確定な要素が多いなかで、経済界はトランプ氏の動向を冷静に注視しているのではないかと分析しています。

■渡辺さん
「最後はディール(交渉)によって、どこかしらに帰着するという形が前回政権の時でも多かったので、そういうところもある程度、企業も見越しているので、それに向けた備えを徐々に進めている段階じゃないかなという見立てです。」

一方、トランプ氏の政策に一定の理解を示しているのが、九州電力の池辺和弘社長です。

■九州電力・池辺和弘社長
「唯一『LNG』、これはシェールガスの増産になると思いますが、これに関して言えば、我々にとってはプラスじゃないかなと思います。」

池辺社長の念頭にあるのは、トランプ氏が掲げる景気対策です。

■トランプ氏
「石油を掘って掘りまくれ。そうすることで物価を大幅に下げることができるんだ。」

トランプ氏は、国内の石油や天然ガスなど化石燃料の採掘を進めて生産量を増やすことで、エネルギーと電力価格を半減するとしています。

九州電力の管内では、台湾の大手半導体メーカーTSMCの熊本進出などで、今後、必要とされる電力量は大幅に増える見通しです。これを確保するため、九州電力が進めているのが、LNG火力発電所の増設計画です。

■池辺社長
「短期で増やせるのはLNG火力だと思いますので、石炭に比べるとLNGの炭素を出す量は半分近くに減りますので、LNG火力をしばらくの間は一生懸命作っていくんだろうと思います。」

新たに必要となるLNGの確保について、池辺社長はトランプ氏の掲げる政策がエネルギー業界、消費者、双方にとってプラスになるとみています。

■池辺社長
「ヨーロッパの天然ガスの在庫量が減っています。アメリカのLNGが出てこないと、日本・韓国・中国が買っているLNGをヨーロッパと取り合いになりますから、LNGの価格が高くなります。LNG価格が高くなると電気の取引市場価格は高くなるので、その影響が皆さんにあると思います。」

「大統領就任初日は独裁者になる」と公言しているトランプ氏。型破りな新大統領の動向は、プラスの面でもマイナスの面でも、福岡に直接影響が及ぶとみられています。その動向を注視しつつ、一喜一憂することなく冷静に対応する必要がありそうです。

最終更新日:2025年1月20日 19:16
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