【ニュースその後】「コンビニ富士山」“黒幕騒ぎ”その後…表れた意外な“変化” 以前は見られなかった光景とは?
2024年に伝えたトピックスのその後を追うシリーズです。「黒幕」の設置がオーバーツーリズムの象徴として話題を集め、新語・流行語大賞にもノミネートされた「コンビニ富士山」の今は?
コンビニのロゴと富士山を一枚の写真に収めようと訪れる、大勢の外国人観光客。
コロナ禍からのⅤ字回復を目指していた観光のまち・富士河口湖町にとって「コンビニ富士山」は起爆剤のひとつとなるはずでした。しかし…
観光客がせまい歩道にあふれ、私有地にも入り込むなど、観光の恩恵よりも“マナー違反”が目にあまる事態に。
地元住民は
「いらっしゃる方は『記念に』と思うので仕方がない部分もあるが、いつ横断してくるかも分からなくてとても怖い」
こうした中、町は5月、かつてない大胆な対策に乗り出します。富士山を隠すための「黒幕」の設置です。
渡辺英之町長は「苦渋の決断だった」と振り返ります。
富士河口湖町 渡辺英之町長
「本当に考えもしていなかったような状況になった」
富士河口湖町 渡辺英之町長
「(黒い幕を)設置した後も、『外国人を排除するようなことはよくない』とかいろいろな意見も出たが、事故もなかったしやってよかったのが私の本心」
あれから半年以上が経った12月。紆余曲折を経て幕は撤去され、現場には相変わらず大勢の外国人観光客が。
しかし、以前は見られなかった光景が広がっています。写真を撮る人々が列をつくり、順番待ちをするようになっていたのです。
渡辺町長によりますと、自然発生的にできた“ルール”だといいます。
富士河口湖町 渡辺英之町長
「順番の列をなして外国人の“暗黙のルール”ができあがっているのかなという感じも受けるし、マナー的にも静かに待ってごみのポイ捨ても以前よりも改善されてきている」
黒幕の設置費や配置する警備員の人件費など、これまで町が支出した費用は約1200万円。
マナー違反は以前より改善しつつある一方、危険な道路横断をする外国人観光客は今も後を絶ちません。
幕の再設置は「現時点で考えていない」とする一方、町では新たな対策としてコンビニ側の歩道に新たな柵を設置したほか、付近の横断歩道の色も目立つよう変更します。
富士河口湖町 渡辺英之町長
「安心安全のために対策していかないと、何かあってからでは遅い。(観光客の)分散化がどういう方向がいいのか、課題のひとつとして来年度は対応していく」
富士河口湖町 渡辺英之町長
「気持ちよく過ごしてもらうことが一番で、おもてなしの心を持ってやっていく」
急増する外国人観光客に対し、受け入れ側のインフラ整備が追いついていない現状。
コロナ禍を経て直面した新たな課題に対し、町の試行錯誤はまだまだ続きそうです。