ウクライナ国民“結束と忍耐”で徹底抗戦 団結しロシア軍足止めも…
ロシアとウクライナによる2回目の停戦協議が、3日に行われる予定です。一方で、ウクライナ当局は民間人の死者が、推定2000人にのぼるとの見方を示しています。
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ロシア軍の軍事侵攻で、ウクライナ北部・首都キエフ近郊は、壊滅的な被害となっていました。建物などは燃え、あたりにはがれきが散乱、住宅なども砲撃の被害にあいました。
住民
「私たちは地下で隠れていて、朝、爆撃があった」
ロシア軍は、ウクライナの複数の都市に対し攻撃を激化しており、いたるところで被害が確認されています。
住民
「天井からいろんなものが落ちてきた。私は逃げ出した。窓も全部が破壊された」
一変してしまった日常。シェルターに避難する女性たちからは、悲痛な訴えが上がっています。
「私たちが欲しいのは平和です。私たちは平和を望んでいて、生き残りたいのです」
「私たちをほっといてほしい。私たちを生かしてほしい。人々は平和を失った。私たちはどれだけの人を失ったのか」
罪のない市民の犠牲が増え続けています。
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警察の建物などが破壊された、ウクライナ第二の都市ハリコフでは、これまでに21人が亡くなりました。
ロシアによる軍事侵攻が始まって1週間。ウクライナの非常事態庁は2日、民間人の死者が、推計で2000人にのぼるとの見方を示しました。
アメリカのバイデン大統領は、「ロシアは意図的に民間人を標的にしている?」という質問に対し、「彼らはそうだ」と答えました。アメリカのブリンケン国務長官も、「ロシア軍は学校・病院・住宅地を空爆している。ロシアの戦術は極めて残忍なものだ」と話しました。
民間人が暮らす地域への攻撃。当初、今回の軍事侵攻についてロシアのプーチン大統領は、「ウクライナ市民に損害を与えたいわけではない」と主張していたにもかかわらず、犠牲者は増え続けています。
アメリカ国防総省の高官は、「ロシア軍がより攻撃的になっている」などと指摘し、さらに犠牲者が増えることを懸念しています。
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3日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、SNSで声明を発表し、「ウクライナ軍は頑張っており、たった1週間で戦死したロシア兵はほぼ9000人だ」と国民に呼びかけました。
一方で、ロシア国防省は初めてロシア軍の死者数を発表。これまでに498人が死亡したということです。
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ウクライナ南部にあるヘルソンでは、1日、夜に戦車が街の道路を走る姿が撮影されました。戦車の近くには、銃を持った兵士と見られる列がありました。
撮影者
「やばい。いっぱい戦車が入ってる。少なくとも10台ぐらい」
ロシア国防省は2日、ヘルソンを制圧したと発表。ヘルソンの市長もSNSに「市内にウクライナ軍はいない」と投稿し、ロシア軍に制圧されたことを示唆しました。
そのヘルソンから北東に200キロ以上離れた、ザポリージャの高速道路を、市民が埋め尽くしていたました。
撮影者
「市民は大勢で、自分の町を守りに来ています」
近くにある原子力発電所などを奪われないようにと、市民が集結していたのです。
「敵を市内に一歩も進ませない。ウクライナに栄光を!英雄に栄光を!」
ウクライナ・メリトポリでは、市民が軍用車両を、身をていして止める様子も撮影されました。
「侵略者!侵略者!」
ウクライナでは、結束と忍耐が求められています。
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第2の都市ハリコフでは、食料などを求め長い列ができていました。
女性
「私の3歳の子供が今、防空壕にいます。プーチンあなたが憎い」
男性
「妻が怖がっている。家にもう食べ物はない」
首都キエフの病院。その地下では、新たな命が誕生していました。
子供を産んだ母親
「ここに来たのは戦争が始まった日です」
戦時下での出産。出産を控えている女性は、「かなうなら…この子が平和を見ることを願っています」と、平和への願いを口にしました。
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こうした中、アメリカで40年ぶりに開かれた、国連総会の緊急特別会合では、「ロシア軍の即時撤退」などを求める採決が行われました。
ロシアやベラルーシなど5か国が反対し、35か国が棄権したものの、141か国の賛成で決議は採択されました。国際社会における“ロシアの孤立”が際立つ形となりました。