ロシアのウクライナ侵攻に対し、欧米諸国は厳しい経済制裁を進めています。それにより、大手のクレジットカードが使えなくなるなど、ロシア国民にも影響がでています。ロシア人に人気のタイのプーケットでは、支払いに困ったり、帰国したくてもできなかったりするロシア人観光客の姿がありました。

　　　◇

エメラルドグリーンに輝く海に白い砂浜。タイのプーケットは、かつて、プーチン大統領もバカンスに訪れた、ロシア人にも人気の観光地です。

しかし今、3000人以上のロシア人観光客が取り残されているといいます。

ロシアのウクライナ侵攻に対する制裁の一環として、国際線の多くがロシアへの運航を停止。タイからの直行便もなくなり、プーケットで、多くのロシア人観光客が立ち往生を余儀なくされているのです。

制裁の影響は、レストランでも見られました。会計を現金で支払うロシア人観光客の姿がありました。

ロシア人観光客
「ビザとマスターカード両方持っていますが、支払いには使えないんです」

クレジットカード大手がロシアでの事業を停止したため、ロシア人が持つカードはプーケットでも使えない事態になっていました。

試しにカードを使ってもらいましたが、「無効」と表示されました。

唯一の頼りが現金ですが、そこにも問題があります。

ロシア人観光客
「お金はあるのですが、（ロシアの）通貨、ルーブルのレートが下がり、いろいろと大変です」

制裁の影響でロシアの通貨「ルーブル」が暴落。ロシア人にとっては、プーケットでの買い物が、これまでより割高になってしまうのです。

さらに、両替自体もできない店がでてきていました。

プーケットでの生活が苦しくなってきているロシア人ですが、帰国も難しく、追い込まれています。

ロシア人観光客
「（ロシアへの国際線が減り）航空券の値段が上がっていることが問題です」

こうした状況に、タイ政府が動きだしました。ビザを30日間、特別に延長したのです。申請代金も無料だといいます。

今月だけで、すでに1000人以上のロシア人が申請したということです。

　　　◇

帰国を望む人がいる一方で、あえて望まないロシア人もいます。

プーケットに滞在している、婚約中のロシア人の男性とウクライナ人の女性のカップルです。部屋にはウクライナの国旗が掲げられていました。

ロシア人と婚約　ウクライナ人女性
「私はとても遠いところにいますが、祖国を応援したいんです」

ロシアの侵攻が始まった直後には、関係に亀裂もできたといいます。

ロシア人と婚約　ウクライナ人女性
「ロシアが私たちにしたことを責めました。感情的になって、しばらく彼と話せませんでした」

ウクライナ人と婚約　ロシア人男性
「私はロシアに戻るつもりはありません。平和な世界に暮らしたい」

反戦の意味を込め、ロシアへは帰国せず、彼女と一緒に暮らすことを選んだということです。

ロシア人にとっても、終わりの見えない状況が続いています。