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いちいち対応する価値を感じない~北朝鮮軍

2010年12月21日 0:57

 北朝鮮軍の最高司令部は、韓国軍が20日午後に延坪島で行った砲撃訓練について、「卑劣な軍事的挑発にいちいち対応する価値を感じていない」とコメントした。ただ、これはあくまでも内部向けととらえるべきで、実際には韓国に加えてアメリカ軍も準備を整えているところで、報復に踏み切るほどの決断は下せなかったといったところだろうと思われる。

 また、北朝鮮としては、砲撃事件で「危機をつくり出す」という目的をある程度、達したと考えているものとみられる。アメリカの政治家を平壌に招いて譲歩する姿勢を見せているのも、対話を探るための観測気球と考えられる。

 北朝鮮からの報復の可能性を捨てきれない中で、韓国が訓練に踏み切ったのは、このままでは結果的に現場海域を「自らの領海だ」と主張する北朝鮮の思惑どおりになってしまうという危機感があったからだ。実は、李明博政権には、北朝鮮から譲歩を引き出すために打てる手はあまり多くない。断固とした姿勢を崩さずに、北朝鮮の出方を見ることになる。

 軍事境界線付近では最高度の警戒態勢が敷かれているが、韓国・ソウルは比較的落ち着いている。10年続いた融和政策で、韓国の若者は、日本に比べると北朝鮮の脅威には極めて無関心だった。しかし、砲撃事件後、攻撃を受けた海兵隊への志願が急増するといった現象が起きている。その一方で、新たな攻撃を心配する声もあり、怒りと不安が相半ばしているといった印象だ。