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【解説】シリア・アサド政権崩壊  “後ろ盾”ロシアへの影響は?

2024年12月9日 17:49
【解説】シリア・アサド政権崩壊  “後ろ盾”ロシアへの影響は?

シリアのアサド政権崩壊について、これまで政権を支えてきたロシアでは、どのように受け止められているのでしょうか?ロシア・モスクワ支局から中継でお伝えします。

ロシアメディアも「ロシアは中東で重要な同盟国を失った」などと大きく報じています。プーチン大統領にとっては自国の勢力圏、いわば縄張りの一部を失った形で、政治的・外交的ダメージは避けられない状況です。

ロシアは2015年にシリア内戦に軍事介入して以降、アサド政権を強力に支援してきました。ロシア空軍の空爆支援により、劣勢だったアサド政権は戦況を好転させることに成功しました。

アサド政権のピンチを救ったことで、プーチン大統領はその後も後ろ盾として、影響力を行使し、世界にロシアの威信を示すことにもつながりましたが、アサド政権崩壊で無に帰した形です。

――ロシアとしては、これまで支えてきたアサド政権をこれ以上は守り切れなかったということでしょうか?

ウクライナ侵攻が長期化する中でロシアはこれ以上、シリアに軍事力を投入する余力がなかったと言えます。

反政府勢力の大規模な攻勢に対し、ロシア軍は空爆を実施したものの非常に限定的なものでした。

ロシアが空軍力をウクライナに振り向け消耗もしている中、もはや反政府勢力を食い止める力はなかった形です。

またブルームバーグ通信は6日、ロシア大統領府に近い関係者の話として「プーチン氏は政権側が拠点を放棄し続ける限り、アサド氏を救うつもりはないようだ」との声を伝えていました。

――今後ロシア側は、どのように対応していくのでしょうか。

最大の焦点は、シリア国内にあるロシア軍の2つの軍事基地を保持できるかどうかです。シリアには、タルトゥース海軍基地とフメイミム空軍基地という2つのロシア軍の拠点があります。いずれも地中海をにらむ位置にあり、中東や近年ロシアが重視するアフリカへの足がかりとして、重要な拠点です。

ロシア側は、この軍事基地の安全確保について、反政府勢力側と合意ができているとしています。しかし状況は緊迫しているという指摘もあり、先行きは見通せない状況です。

今後ロシアとしては、軍事基地の保持に向け反政府勢力に影響力を持つトルコの協力を得られるかがカギで、今後のシリア統治の先行きも不透明な中、周辺国の駆け引きが続きそうです。

最終更新日:2024年12月9日 17:49