相違点ではなく共通点を…村上春樹氏が講演
世界的に人気がある作家の村上春樹さんが、日本時間1日、アメリカのハワイでシンポジウムに参加した。日本と中国や韓国との関係が冷え込んでいることについて、「相違点ではなく共通点を見いださなくてはならない」と述べた。
このシンポジウムは「村上作品が東アジアに及ぼした影響を考える」というもので、村上さんが名誉博士号を受けているハワイ大学マノア校が企画。村上さんの他、中国や韓国出身の大学教授らが参加した。
約15分にわたる英語での講演で、村上さんは「東アジアにはいくつかの政治的な問題があり、数年前より深刻になっている」という見方を示した。その上で、「可能な限り、互いを理解しようとするべきであり、相違点ではなく共通点を見いださなくてはならない」「共感や共通点を見つけることは作家の役割だ」と述べた。
村上さんは「僕は、小説家として、否定的な話を消し去るような肯定的な物語を作らなければならない。僕たちの声は小さく、弱いかもしれない。しかし、僕たちの言葉はそうではないのだ」と締めくくった。
シンポジウムは一般にも開放され、日本文学を学ぶ学生やハワイで暮らす日本人など約300人が熱心に聞きいった。
講演を聞いた人「日本でめったに聞ける機会がないので、絶対に行った方がいいと言われた」「(村上氏の)政治的視点や、それをどう小説に反映させるかを知ることができて、とても良かった」
村上さんの作品はその多くが中国語や韓国語にも翻訳され、広く読まれている。