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米キューバ国交正常化へ 歴史的な首脳会談

2015年4月12日 12:21

 アメリカのオバマ大統領とキューバのカストロ国家評議会議長が11日、1961年の国交断絶後、初めてとなる首脳会談を行った。半世紀余りにわたる対立から、国交正常化に向けて歴史的な節目となった。会談が行われたパナマ・パナマシティーから、近野宏明記者が報告する。

 2人の首脳は長年対立してきた両国の関係を塗り替える会談を終え、まずはその歴史的意義を強調した。

 オバマ大統領「これは歴史的会談だ」「我々は今、未来への道に突き進む立場にある」「いずれ我々は二国間の新しい関係を発展させることができる」

 カストロ議長「オバマ大統領の言った方法で、進展させていきたい。両国民の友好関係を進展させ、外交関係を築くため、話し合いを続ける」

 オバマ大統領は会談後、「キューバはアメリカにとって脅威ではない」と明言した上で、「正直に話ができた」と会談の感想を述べた。カストロ議長も「きょう何かで反対するかもしれないが、あすは何かで合意するかもしれない」として、アメリカとの交渉を進めていく考えを示した。

 会談の後、控室に戻ったカストロ議長は、精力的に各国の首脳と二国間の会談を行っている。

 アメリカはキューバをテロ支援国家に指定しているため、キューバは外国との取引が大幅に制限され、長らく経済が低迷している。そのダメージを取り除くため、キューバは国交正常化交渉の中で、解除を強く求めてきた。オバマ大統領は解除に応じる方針だが、この日の会談で結論を伝えるには至らなかったようだ。

 オバマ大統領「公式な結論を発表する前に、(テロ支援国家指定解除について)私もその内容を吟味しようと思っている」

 また、両国の大使館の再開時期も明示されなかった。両者の間に立ちはだかる最大の問題は体制の違い。アメリカは自由と民主主義に最大の価値を置く。オバマ大統領は「カストロ議長に直接、アメリカが人権や民主主義について声を上げ続けていくと伝えた」と強調し、社会主義体制の下で長期間独裁をしいてきたキューバの人権状況を見逃すつもりはないとの認識を示した。しかし、カストロ議長は「我々は全てを話すつもりだが、非常に忍耐強くなる必要がある」と述べている。現在の体制を変えるつもりはないというわけだ。

 首脳同士の歴史的な対話は実現した。しかし、国交正常化への課題はまだ積み残されたまま。今後の交渉では、大使館の再開時期の確定が当面の試金石となる。