イスラエル軍「ガザ地区」最大の病院に突入 院内には今も2000人以上か
イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区で最大の「病院」に突入しました。白い煙が立ちこめる病院内……イスラエル軍は、イスラム組織「ハマス」の拠点があるとして突入しましたが、今も2000人以上の患者や避難した住民らがいるとみられています。
◇
15日夜、イスラエル軍が、「ガザ地区」最大の医療機関、シファ病院で撮影したとする映像を公開しました。映像には、箱や、タイヤがついた道具などを運ぶ兵士の姿があり、支援物資を病院の入り口に置いたとして、“人道的支援”を行っていることをアピールする目的があるとみられます。
これに先立ち、イスラエル軍が発表したのが、シファ病院への攻撃開始です。
イスラエル軍の報道官
「シファ病院の特定エリアで、『ハマス』に対する精密かつ標的を絞った作戦を実施している」
イギリスのBBCは、病院内にいる人の情報として、イスラエル軍の戦車や兵士100人以上が、病院の敷地内に入っていると報じています。
シファ病院は、「ガザ地区」北部の海側に位置しています。アメリカ・「戦争研究所」の分析では、イスラエル軍が南北からシファ病院を目指すように活動範囲を拡大。すでに、北側を除く、3方向を取り囲んでいる可能性があるとしています。
イスラエル軍は、外来病棟や産科病棟の隣など、敷地内に複数のイスラム組織「ハマス」の地下施設や司令部があると主張しています。
◇
15日、そのシファ病院の医師が、危機的な状況を語りました。
シファ病院の医師(15日)
「昨日(14日)の夕方から、彼らは病院周辺や病院内で、激しい砲撃や銃撃を始めました」
14日に撮影された病院内の映像では、煙が巻き上がり、見通しがきかない状態に。床には、がれきが散乱していました。
シファ病院の医師(15日)
「病室の1つが狙われ、壁に直径50センチほどの穴が開きました。戦車が病院内を移動しています。まったく恐ろしい状況です」
記者
「この音は、何ですか?」
シファ病院の医師(15日)
「戦車からの連続射撃です」
シファ病院には、避難してきた民間人を含め、2000人以上がいるとされています。(※ガザ地区保健当局による)
◇
多くの民間人がいる「病院」を標的としていることについて、イスラエル軍は――。
イスラエル軍将校
「病院がなぜ、今回の戦争に巻き込まれているのか? 『ハマス』が、最も弱い病人を“人間の盾”として使っているからです」
“民間人がいる場所に、「ハマス」が潜伏しているから”だと主張しています。
今回の突入では、民間人に危害が及ばないよう、特別な訓練を受けた医療チームや、現地の言葉を話せる兵士が参加しているとしています。
イギリスのBBCは、病院内にいるジャーナリストが「イスラエル軍は完全に病院を支配下に置いていて、銃撃戦は行われていない」などと証言している、と報じました。
民間人の被害の有無などは、明らかにされていません。
(11月15日放送『news zero』より)