“無防備な命”が危機に…ガザ地区最大の「病院」が“支配下”に… 「ハマス」掃討作戦が新局面
イスラエル軍によるイスラム組織「ハマス」の掃討作戦が、新たな局面を迎えました。イスラエル軍は、「ハマス」の拠点とするガザ地区最大の病院に突入。患者や民間人のいる病院を支配下に置いたと報じられています。
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日本時間15日午後、イスラエルから見た「ガザ地区」の空には、虹がかかっていました。
虹の向こうでは、いま――
「地区最大の病院は、墓地となりつつあります」
無防備な多くの命が、危機にさらされています。
イスラム組織「ハマス」の壊滅を掲げ、激しい戦闘を続けるイスラエル軍は、日本時間15日、新たな声明を発表しました。
イスラエル軍
「シファ病院の特定エリアで、『ハマス』に対する精密かつ標的を絞った作戦を実施している」
「ガザ地区」最大のシファ病院に、攻撃を始めたというのです。7日に撮影された映像には、行き場を失った多くの人が身を寄せ、まだ幼い子どもたちの姿が見られました。
このわずか3日後、10日のシファ病院では、負傷者が増え、中では混乱が広がっていました。11日には発電機を動かす燃料が尽き、病院としての機能を停止したと報じられました。
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そして15日、「ハマスの拠点がある」として、徐々に迫っていたイスラエル軍が、ついに病院への突入に踏み切りました。
アメリカの政策研究機関「戦争研究所」の14日の分析では、イスラエル軍の活動範囲はガザ市中心部にまで到達。シファ病院は北側を除く3方向を取り囲まれている可能性があるとしています。
イスラエル軍は、外来病棟や産科病棟の隣など、敷地内に複数の「ハマス」の地下施設や司令部があると主張しています。
イスラエル軍将校
「ハマスは病気の住民を“チャンス”と捉えている。もっとも弱い人々を戦火に巻き込むのだ」
イスラエル軍の突入前に撮影されたとみられる映像には、煙が立ちこめる廊下を咳き込みながら行き来する、病院の職員たちの姿がありました。
強く懸念されるのは、病院に残る“無防備な命”の安否です。
ガザ地区保健当局が日本時間15日に公開した映像には、病院の一室に次々に運び込まれる、保育器から出された未熟児の姿が――。保育器が動かせないため、辛うじて電力が残る、暖かい部屋に移動させたといいます。映像で確認できるだけで、30人以上の赤ちゃんがいました。
「本来は、みなそれぞれの保育器に入るべきですが、これがガザの未熟児の状態です」
こうした中、イギリスBBCは15日、病院内にいるジャーナリストが「イスラエル軍は完全に病院を支配下に置いていて、銃撃戦は行われていない」などと証言していると報じました。民間人の被害の有無や、実際に「ハマス」との戦闘が行われたのかなどは、明らかにされていません。