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オスカーW受賞 「日本男児として…」宮﨑駿監督の喜び方 「ゴジラ」監督は若手へエール どう評価?【#みんなのギモン】

2024年3月12日 9:22
オスカーW受賞 「日本男児として…」宮﨑駿監督の喜び方 「ゴジラ」監督は若手へエール どう評価?【#みんなのギモン】
日本時間11日に発表された米アカデミー賞。宮﨑駿監督の「君たちはどう生きるか」が日本アニメとして21年ぶりの長編アニメ映画賞に、山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」がアジア初の視覚効果賞に輝きました。評価されたポイントを映画ライターに聞きました。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「オスカーW受賞 快挙のワケは」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●「心底うれしい」 アジア初の偉業
●評価されたポイントは?

■異例…日本からは3作品がノミネート

富田徹・日本テレビ解説委員
「日本映画が、アカデミー賞をW受賞したという快挙がありました。日本時間の11日朝、第96回アカデミー賞の授賞式が行われました」

「日本からは、宮﨑駿監督の『君たちはどう生きるか』、山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』、役所広司さんが主演を務める『PERFECT DAYS』がノミネートされていました。3作品がノミネートされる時点で異例だったんですが、さらにこのうち2作品が受賞しました」

鈴江奈々アナウンサー
「ジブリもゴジラも、私たち日本人にとってはとてもなじみのあるコンテンツですけれども、令和の時代に生み出されたこの2つの作品が受賞したというのは、本当に感慨深いです。特別な喜びですね」

■「千と千尋の神隠し」以来の栄誉

富田解説委員
「『君たちはどう生きるか』は、長編アニメ映画賞に輝きました。日本アニメとしては2003年の『千と千尋の神隠し』以来、21年ぶり2度目の快挙です」

「スタジオジブリの皆さんが発表を見守る様子の映像があります。数々の名作を手がけてきたジブリの皆さんですけれども、緊張感が漂っています。固唾をのんで見守っています。(発表されると)喜びを爆発させました。ジブリ好きの河出さん、どうでしょうか?」

河出奈都美アナウンサー
「速報を見た瞬間、大喜びをしましたよね。ジブリ作品全体を通して今、海外からの注目度がものすごく高まってきて、日本人として誇りに思いますし、改めて、作ったスタッフの皆さんに感謝ですね」

■鈴木敏夫Pが会見で明かしたこと

富田解説委員
「受賞を受けて、鈴木敏夫プロデューサーが会見を行いました」

鈴木プロデューサー
「オスカー像ってね、1個もらえるじゃないですか。何個も注文すれば、お金を出せば作ってくれるんですよね。さっき3個注文しました」

「時の運だと思ってますから、こういう賞をいただけたのはね。その瞬間、やっぱり心の底からうれしかったですよね。宮﨑はさっき(電話で)しゃべってたんですけど、日本男児としてうれしい顔は見せちゃいけないって言いつつ、こぼれてたんですよね、喜びが」

富田解説委員
「注文したトロフィー3個は、宮﨑監督、鈴木プロデューサー、そして海外のスタジオ用だそうです」

■「タイタニック」と同じ視覚効果賞

富田解説委員
「『ゴジラ-1.0』は視覚効果賞を受賞しました。受賞後の山崎監督の手元には、オスカー像に襲いかかる金のゴジラがありました」

「この視覚効果賞は、コンピューターで映像を加工したり、合成したりする技術で、英語でビジュアル・エフェクト(VFX)と呼ばれています。現実では見られない世界を作り上げる技術を評価する賞ということです」

「この賞を受賞するのはアジア映画としては史上初。過去の受賞作品は『スター・ウォーズ』や『タイタニック』『アバター』など、映画の歴史を代表するような作品ばかりですよね」

刈川くるみキャスター
「どれも不朽の名作ですが、父がゴジラを大好きで、小さい頃にゴジラの人形でよく遊んでいた思い出があるんですよ。昔から愛されるゴジラが世界最高峰の賞をとるというのが、ものすごく嬉しくて感動しました」

■VFXの第一人者、山崎監督のスピーチ

富田解説委員
「そういう(歴史ある)作品をなお、新しく見せるというのがすごいところです。山崎監督はスピーチで『この場所から遠く離れた所でVFXを志しているみんな! ハリウッドが君たちにも挑戦権がある事を証明してくれたよ!』と、若手へメッセージを贈りました」

鈴江アナウンサー
「最高の舞台からのエールですよね。このエールを受けて、後に続いてもらいたいですね」

■高いアート性、全編手描きも評価か

富田解説委員
「本当かっこいいですよね。ここからは、評価されたポイントについて考えます。今回名だたる作品がノミネートされる中で、(受賞した)2つの作品が具体的にどういうところが評価されたのでしょうか。映画ライターの、よしひろまさみちさんに聞きました」

「まずは『君たちはどう生きるか』。見た人なら分かると思いますが、これまでのジブリ作品とはちょっと違って、見る側に解釈を委ねるような、ちょっと考えさせてくれるシーンが連続します」

「こうした、ちょっと難しいシーンも含めたストーリー全体が宮﨑監督の世界観を表していて、アート性が高いと評価されたのではないかということです」

「さらにCGが主流となっている中で全編手描きであることも評価されたのでは、と分析していました」

河出アナウンサー
「刈川さんと映画を見てすぐ感想を言い合ったんですけど、捉え方が所々で違うなと感じていて、まるで、自分がどう感じるかによってどう生きてきたかと問われているような感覚があったように思います」

富田解説委員
「確かに、これまでのジブリ作品とはちょっと違う楽しみ方ができる仕上がりになっていますよね」

■VFX「昼の場面」の臨場感と低予算

富田解説委員
「続いて『ゴジラ-1.0』について。よしひろさんによると、VFXは画面が暗い方が粗さが目立たないため夜のシーンが多いそうです。しかしこの作品は明るい昼間のシーンでも、まるでその場にいるような感覚を作り出せたという点が評価されたのでは、といいます」

「よしひろさんが以前、山崎監督に聞いたところ、『若いクリエーターにやりたい放題やらせたから』と言っていたそうです」

「しかも、視覚効果賞はこれまで制作費100億円以上をかけた作品が多かったのですが、『ゴジラ-1.0』は10分の1以下で、非常に低予算で高いクオリティーを実現しているということです」

鈴江アナウンサー
「10分の1ですか。すごい!」

富田解説委員
「海外でも日本の映画が盛り上がるきっかけになるといいと思います」

(2024年3月11日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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