イラク首相「今日『イスラム国』終わった」
過激派組織「イスラム国」のイラク最大の拠点・モスルの奪還作戦で、イラク軍は29日、「イスラム国」支配の象徴だったモスクを制圧したと発表した。イラクのアルビルから可児智之記者が伝える。
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ここアルビルは、各国のメディアの取材拠点となっていて、モスルは、丘の向こうにある。近く、最後の総攻撃が行われるとの情報も流れるなど、緊張感が高まっている。
イラク軍は29日、旧市街のヌーリ・モスクを制圧したと発表した。このモスクは、「イスラム国」の指導者・バグダディ容疑者が一方的に国家樹立を宣言した所で、先週、爆破されていた。
国営テレビは「“神話の国”が崩壊した」と大々的に伝えている。戦闘員も約250人まで減少し、イラクのアバディ首相は先ほど、「きょうで『イスラム国』は終わった」と述べた。
一方で、気になるのが市民の犠牲だ。“人間の盾”にされるなど、どこまで犠牲が増えるのかは分からない状況。
市民によると、「イスラム国」は多くの人々を1つの家に集め、逃亡を防ぐために爆発物を仕掛けていたという。モスルを脱出しても、「イスラム国」の報復を恐れてカメラの前で話すことを嫌がる人も多く、身も心も傷ついたまま。