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“非核化”裏切りの歴史も…北、変化の思惑

2018年3月7日 19:34

6日夜に映像が公開された、韓国と北朝鮮との会談。来月末、11年ぶりとなる南北首脳会談を行うことなどで合意したことがわかった。北朝鮮は会談の中で“非核化の問題も含め、アメリカと対話する用意がある”ことを明らかにした。

さらには──。

韓国大統領府・鄭義溶国家安保室長「(金委員長が)延期された米韓軍事演習について、4月から例年並みに行うことを理解するとの立場を明かしました」

北朝鮮のスタンスが変化したようにも見える合意内容。はたして、どんな思惑があるのだろうか。

◆会談内容のポイントは4点

6日、韓国の特使団と北朝鮮の会談の内容が明らかになった。大きな転換点を迎えたといえる。

明らかにされた会談内容のポイントは、大きく4点。

・来月末に南北首脳会談を行うこと
・“非核化の意思”を示したこと
・対話が続いている間は、軍事的な挑発は行わないこと
・アメリカと対話する用意がある

◆過去の南北首脳会談

非核化に向けて進んでいくようにも見えるが、順番に見ていくと、まず首脳会談は久しぶりで、実現すれば3回目。

初めての首脳会談は2000年で、当時の金正日総書記と韓国の金大中大統領が北朝鮮・平壌で会談した。この時の合意文書では、「南北の自主的和解と統一」「朝鮮半島の緊張緩和と平和の定着」などが盛り込まれ、笑顔で握手を交わす“友好ムード”だった。

2回目は、7年後の2007年で、この時は、金正日総書記と盧武鉉大統領だった。以降、首脳会談は行われていない。

この後の李明博大統領と朴槿恵大統領は、北朝鮮に強硬な姿勢を取っていたため、南北の関係は冷え込んでいた。これらの政権と違って、今の文政権は北朝鮮との対話に前向きであるから、近々に首脳会談を、という話になっているわけだ。

◆“非核化”北朝鮮、裏切りの歴史

“非核化の意思”ともあるが、北朝鮮が核を放棄するなどということは、難しいと考えられる。というのも、北朝鮮は過去に何度も国際社会を裏切っているからだ。

古くは1994年の「米朝枠組み合意」があり、北朝鮮がすべての核関連施設を凍結する引きかえに、アメリカが軽水炉を提供するなどの合意があった。が、その後も核開発が継続されていた。

そして2005年の6か国協議で、北朝鮮は再び、「すべての核兵器と核開発計画を放棄する」ことに合意するのだが、翌年、核実験を行うなど、国際社会は北朝鮮に見事に裏切られている。

これだけではない。2012年にも、アメリカから食糧支援を受けるかわりに核実験などを中止することで米朝が合意したが、北朝鮮は1か月半後、「合意を破棄する」と発表している。

となると、今回も大丈夫かなと思ってしまう。

◆“非核化”をめぐる合意内容に「前提条件」

さらに、今回の“非核化”をめぐる合意の内容を見てみると、「北朝鮮に対する軍事的脅威が解消されて、北朝鮮の体制の安全が保証されれば」核を保有する理由はない、つまり、核を持たなくてもいい、という前提条件がついている。

金正恩委員長は、今の体制を維持するためにはアメリカに対抗できる核を自分たちも持つ必要がある、という論理で核開発を進めてきたので、つまりは今まで言ってきたことと基本は同じで、主張は変わっていないということになる。

◆南北会談では“お見送り”まで…笑顔の裏にあるのは

改めて5日の会談の様子を見てみると、金委員長は韓国特使団の一人ひとりと握手して出迎えている。晩さん会では笑顔でもてなし、さらには車寄せに出てきて手を振り、お見送りまでした。この笑顔の裏にあったのは、危機感だったのだと読み解ける。つまり、オリンピックをきっかけに韓国をとりこんで、アメリカの軍事的圧力から逃れたい、制裁からも逃れたい。だから今回、大胆なカードを切ってきたといえる。

こうした対話姿勢はただのポーズで、時間稼ぎに利用しているという疑いがぬぐえない。対話の行方によっては再び挑発行為に転じる可能性もあるから、北朝鮮の真意を冷静に見極める必要がある。