“夢の自動運転”で初の死亡事故 なぜ?
自動車メーカーだけでなく、様々な企業が開発に乗り出している自動運転車。そんな自動運転車が、女性をはね、死亡させる事故が起きた。事故を起こしたのは配車サービス大手「Uber(ウーバー)」の自動運転車だった。なぜ、事故は起きたのだろうか。
◆“夢の自動運転”実用化へ各社しのぎ
私たちの生活を変えるかもしれない、夢の自動運転技術。実用化へ向けた動きは、日本でも進んでいる。去年12月には、運転手のいない自動運転車が公道を走る初の実証実験が行われた。
トヨタや日産といった自動車メーカー以外に、グーグルなどの異業種も開発に参入。各社がしのぎを削っている。
◆アメリカで初の死亡事故が…
そんな中、今月18日、アメリカ・アリゾナ州で、公道で試験走行していた自動運転車が歩行者をはね死亡させる事故が発生。アメリカメディアは、自動運転の車による死亡事故は全米で初めてと伝えている。
試験走行を行っていたのは、配車サービス大手「Uber」。スマートフォンのアプリを使って一般のドライバーがタクシーのように人を乗せるサービスを世界各国で展開している。
そんなUberが開発中だった自動運転車による死亡事故。いったい何があったのだろうか?
◆事故は夜間。オペレーターも乗っていたが…
地元警察によると、事故が起きたのは、午後10時ごろ。車には、オペレーターとして男性(44)が1人で運転席に乗っていたが、あくまで緊急時に備えるためで、自動運転機能で走行していたという。
車は時速60キロ以上で走行。横断歩道ではない場所で、自転車を押して道路を横断しようとしていた歩行者の女性(49)をはねてしまった。地元警察は「現状の捜査では、自動車が減速した痕跡はみられない」と話している。事故はなぜ起きてしまったのだろうか?
◆自動運転の課題は
自動運転に詳しい専門家、金沢大学新学術創成研究機構の菅沼直樹准教授は、ある可能性を指摘する。
菅沼直樹准教授「夜間ということなので、カメラを使ったときにセンサーがうまく反応しない可能性がありうる。認識能力が落ちてしまうという課題があります」
また、歩行者の動きの予測もまだハードルが高いとした上で、試験走行中には、監視するドライバーに、事故を防ぐ義務があると話す。
事故を受けて、Uberはアメリカとカナダの4都市で行っている自動運転の公道試験を中止すると発表。自動運転の安全性や規制をめぐる議論にも影響を与えそうだ。