どうなる“混迷”米朝会談…米も異例の対応
今月12日に予定されていた米朝首脳会談の中止を、先週、突然表明したトランプ大統領。
トランプ大統領(日本時間5月25日未明)「私は米朝首脳会談の中止を決断した」
しかし、今週は北朝鮮の高官が米・ニューヨークへ。首脳会談の実現に向け、活発な交渉が続いている。
トランプ大統領(日本時間5月31日夜)「金正恩氏からの親書が届けられるだろう。どんな内容か楽しみにしている」
果たして、史上初の米朝首脳会談は実現するのだろうか。「news every.」小西美穂キャスターが解説する。
◆いまの状況は…北朝鮮の高官に“異例”対応
会談は、やるなら再来週の12日といわれているから、もう時間がない。いま、大きな山場を迎えている。
まず、5月31日にニューヨークで撮影されたこの写真、左にいるのが北朝鮮の金英哲統一戦線部長、右はアメリカのポンペオ国務長官。どちらも米朝首脳の側近同士だ。ニューヨークで首脳会談の開催に向けた大詰めの協議が行われたのだ。
会談は2日間行われ、ポンペオ長官が非公開だった会談の様子を公開し、融和ムードを演出した。会談後、長官はこのように話している。
ポンペオ国務長官「この72時間で大きな進展があった。米朝は正しい方向に進んでいる自信がある」
金部長にはほかにも重要な任務がある。このあと金正恩委員長の親書をたずさえてニューヨークからワシントンに移動し、トランプ大統領に手渡す予定なのだ。
北朝鮮の高官が首都ワシントンを訪れるのは18年ぶり。金部長は北朝鮮の工作機関のトップで、制裁の対象でもあるので、本来、アメリカに入国できない人物だ。そのため、特別に認められた機会なのだ。また、アメリカ大統領の側近が面会するのも異例だ。
◆北朝鮮はロシアとも…狙いは
一方、金委員長は外交を活発化させていて、5月31日、ロシアのラブロフ外相が平壌を訪れ会談した。これまで活発化している北朝鮮をめぐる駆け引きでロシアは出遅れ感があったので、ロシア側には関与したい狙いがあるとみられる。
金委員長にとっては、ロシアも北朝鮮を支持しているとアメリカをけん制する思惑だ。
◆やるのかやらないのか、結局、どっち?
いま、どんな状況なのか。トランプ大統領は次のように話している。
トランプ大統領「6月12日に会談できることを願う。一度の会談で全て達成するワケでなく、会談は二度三度やる必要があるかもしれないし、ないかもしれない」
やるのかやらないのか、まだ不確定だ。トランプ大統領の本音としてはやりたいのだと思われるが、非核化の問題がキーポイントとなる。ポンペオ長官は、「まだやることが多くある」と話し、非核化すれば北朝鮮の体制を保証するというアメリカ側の主張を、北朝鮮側がまだ信用していないとの認識を示した。
金委員長は、5月31日にロシアのラブロフ外相と会談したときにも非核化の進め方について「段階的な解決」を改めて主張。アメリカは「短期間での非核化」を求めているので、米朝双方の溝が埋まっていないともいえる。まだどうなるかわからない余地は残っている。
トランプ大統領と金委員長の歴史的会談は行われるのか。トランプ大統領は金委員長の親書を楽しみにしていると話しているが、その親書が決め手となるかどうかが焦点。