カミラ王妃「英国で最も嫌われている女性」から「クイーン」に 6日に戴冠式
6日にイギリスで行われる戴冠式にチャールズ国王と共に臨むカミラ王妃。かつて「イギリスで最も嫌われている女性」とも呼ばれた王妃ですが、国民の見方も徐々に変化してきています。
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戴冠式を翌日に控えたロンドン。
記者(英・ロンドン)
「ロンドンの観光スポットとして有名なビッグベンでは、戴冠式にあわせ、今日から特別ライトアップが行われています」
イギリスを構成する4つの地域を象徴する花や国歌の歌詞が投影され、祝賀ムードを盛り上げます。国王の戴冠式が行われるのは70年ぶりとあって、街はお祝いムードに包まれていました。
今回、カミラ王妃はチャールズ国王とともに戴冠し、正式に「クイーン」の称号を名乗ることになります。しかし、かつて国民からの人気はいまひとつでした。その理由は、絶大な人気を誇ったチャールズ国王の前の妻、ダイアナ元妃の発言です。
ダイアナ元妃(1995年 BBCインタビュー)
「私の結婚生活には3人がいました」
結婚が破綻した原因として、カミラ王妃の存在を指摘したのです。
カミラ王妃は「イギリスで最も嫌われている女性」などと呼ばれ、2005年にチャールズ国王と結婚した後も世論は冷ややかでした。
一方、ダイアナ元妃をしのぶ声も根強くあります。そのひとりの王室ファンの女性を訪ねました。部屋中にダイアナ元妃の関連グッズがびっしりと並んでいました。
英王室ファン マーガレット・タイラーさん
「彼女はずっと変わらず、困った人を見かけたら手をさしのべてきました。素晴らしいことです」
ダイアナ元妃の魅力は、弱い立場の人々に向けるあたたかいまなざしだといいます
1987年、ダイアナ元妃はロンドンの病院にエイズ患者を訪ね、手を握りました。接触するだけで感染すると恐れる人もいた頃のことです。王室に新しい風を吹き込む存在として、ダイアナ元妃は人々に支持されました。
ダイアナ元妃がたびたび訪れていたカフェには…
記者(英・ロンドン)
「こちららのカフェにはいまだにダイアナ妃をしのぶ大勢の人が集まっています」
ダイアナ元妃はこの場所で離婚についての本音をもらしたこともあったといいます。
カフェオーナー アブドゥル・ダッフェ氏
「『離婚したくない』と言ったのです。『まだ幼い子どもたちに離婚を見せたくない』と」
しかし、その後、離婚が成立。1997年にダイアナ元妃は交通事故でこの世を去りました。
離婚により、王室の人気は大きく下がりました。そのため、カミラ王妃に対し、エリザベス女王は当初、良い感情を持っていなかったといわれています。それでも、カミラ王妃は結婚以来、身近で国王の活動のサポートを続けてきました。
カミラ王妃(2021年)
「我々が真に団結し、暴力のない世界を築くまでに、あと何人の女性が虐げられ、暴行され、殺されなければならないのでしょう」
女性に対する暴力の被害者などの支援、識字率の向上といった活動に力を入れる姿に、女王も次第にカミラ王妃を認めるようになっていったといいます。国民の見方も徐々に変化し、最新の世論調査ではカミラ王妃に対して「好き」が「嫌い」を上回る結果となりました。
◆カミラ王妃について(2023年4月26日 英ユーガブ調査)
好き 48%
嫌い 39%
どちらでもない 13%
元王室報道官 ディッキー・アービター氏
「カミラ王妃が国王、国、人々のためにしてきたことを見て、大多数の国民が彼女を受け入れています」
長く辛い時を堪え忍んできたカミラ王妃。どのような思いで6日の戴冠式に臨むのでしょうか。