「降伏」呼びかけ“偽ゼレンスキー大統領” 本物と比較すると…
偽のウクライナ・ゼレンスキー大統領が「降伏」を呼びかける動画がロシアのSNSで拡散されました。この偽動画は「ディープフェイク」というAI(人工知能)技術で作られたといいます。偽動画と本物の動画を比較すると…。
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ウクライナのゼレンスキー大統領は、国民を勇気づけるため、毎日、発信を続けています。しかし、ロシアのSNSで「偽のゼレンスキー大統領の動画」が拡散されました。
偽のゼレンスキー大統領の動画
「私の最後の重大な決断は、あなたたちにお別れの挨拶をすることです。武器を捨てて、家族の元へ戻るよう呼びかけます」
偽のゼレンスキー大統領が“戦いをやめて降伏するよう”呼びかける動画――実は「ディープフェイク」というAI技術で作られました。
ゼレンスキー大統領のフェイスブックに投稿された本物の動画と比較しました。ゼレンスキー大統領本人は体を左右に大きく揺らしながら話しているのに対し、偽の動画ではほとんど動いていません。また、音声にも違いがあり、偽動画は声が低いように聞こえます。
この技術に詳しいエンジニアに「偽動画」を見てもらいました。
AI開発会社・クリスタルメソッド 河合継代表
「動画の背景を切り取って、顔部分だけ合成しています。顔がここにあるとしたらら、首に影が 映らないといけないんですが、その影がない。偽動画でも影がきれいに出るのはあります。質があまりよくないというか、ちょっとチープな感じ」
16日、フェイスブックを運営する米IT大手の「メタ」社は、動画を発見し、偽動画だとして削除しました。また、米CNNによると、YouTubeでも偽動画が見つかり、削除されたということです。
偽動画を拡散されたゼレンスキー大統領は16日、自身のフェイスブックに「降伏なんかする予定はありません。勝つまでは」と投稿しました。
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偽物は、動画以外にも。イギリスのウォレス国防相はツイッターで「ウクライナ首相をかたる人物が『私と話したい』と言ってきた。疑いを持ったので、電話を切った」と投稿しました、
ロイター通信は「ウクライナ大使館を装った偽のメールで、電話会談が設定された」と伝えています。ウォレス国防相は「ロシアが関与しているとして、調査を指示した」ということです。
(3月18日放送『news zero』より)