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法廷闘争で長期化も 米大統領選どう決着?

2020年11月5日 21:39
法廷闘争で長期化も 米大統領選どう決着?

異例の大接戦となり、決着まで長期化が予想されるアメリカ大統領選挙。なぜこんなに揉めている?アメリカで発生している「パープルリング現象」とは?最新情報や大統領選の今後の流れについて解説します。
 
■トランプ大統領 下馬評覆し「猛追」なぜ?
 
日本時間5日16時時点で、これまでに獲得した選挙人の数はトランプ大統領が214人、バイデン候補が253人で、バイデン氏がリードしています。 
 
当初はバイデン氏の圧勝と見られていましたが、トランプ氏が予想を覆して猛追した形です。その背景には、テキサス州・フロリダ州・オハイオ州と言った大票田をトランプ氏が軒並み抑えたことが大きいです。
中でも、トランプ氏にとって絶対に落とせない州として注目されたフロリダ州を世代別に見ると、29歳以下の若者はバイデン氏の支持が多いですが、30歳以上は全ての年代でトランプ氏の支持が上回り、コロナで「トランプ離れ」が指摘された高齢者層もトランプ氏が5ポイント上回っています。投票で最も重視したことは「経済」という人が「コロナ対策」を上回っています。感染対策よりも経済や雇用の回復を重視する人が多く、そのほとんどがトランプ氏を支持しています。 
 
■郊外で進む「パープルリング現象」とは?
 
ただ、全米規模でみると違う傾向も見えてきます。
男性は両候補の支持率にほぼ差がありませんが、女性はバイデン氏の支持が多数となっています。
人種別にみると、白人以外はバイデン氏の支持が多数。中でも黒人は、圧倒的にバイデン氏支持となっています。
投票率が67%と過去100年で最高となる見通しの中、今回初めて投票した人の66%がバイデン氏を支持したということで、新たに掘り起こされた票の多くがバイデン氏に流れたことがわかります。 
 
さらに、興味深い現象も見えてきました。
もともとアメリカでは都市部は民主党が強く、地方は共和党が強い地盤です。その間の郊外は比較的裕福な白人層が多く、共和党が強い傾向がありました。しかし最近は都市部から人が移住してきたり、人種が多様化したりして、民主党支持者が増えています。つまり、赤(共和党)だったところに青(民主党)が混じってきて、いまは紫になっている状態。これを「パープルリング現象」といいます。
つまり、全米規模では民主党の支持者が徐々に広がっている傾向があります。 
 
■追い込まれたトランプ大統領 法廷闘争へ?
 
では、選挙の行方はどうなるのでしょうか。5日16時時点でまだ勝敗が決まっていない州をみてみると、ジョージア州とノースカロライナ州はトランプ氏がやや優勢です。この2州をとれば31人プラスとなりますが、まだ過半数の270人には届きません。
一方、バイデン氏はアリゾナ州で優勢となっていて、ここを取れば11人プラスとなります。
残る注目は、ネバダ州とペンシルベニア州です。バイデン氏はネバダ州だけ取っても270人に届きますが、トランプ氏は両方とらないと勝てません。 
 
こうした中でトランプ氏は「(郵便投票に)不正がある」「最高裁判所に持ち込んですべての票の集計をストップさせる」などと訴え、バイデン氏がすでに獲得しているウィスコンシン州とミシガン州、さらにペンシルベニア州について開票の中止などを求めています。 
 
フロリダ大学の調査では、ペンシルベニア州では登録済み有権者のおよそ3割にあたる250万票が郵便投票で投じられていて、そのうちバイデン支持が164万票、トランプ支持が58万票と推定されています。
つまり、最後まで郵便投票を開票するとトランプ氏が負ける可能性が非常に高いことを示しています。 
 
一方のバイデン氏は、最後まで全ての票を開票すべきと主張しています。郵便投票をめぐって両者の主張が真っ向から対立しているわけで、今後、各地で法廷闘争が始まる可能性が高いです。
トランプ氏は、保守派が多数を占める最高裁まで持ち込めば、自らに有利な判決が出ることを期待しています。決着までかなり時間がかかることが予想されます。 
 
■決まらない場合はどうなる・・・?
 
今後のスケジュールについて整理します。
まず12月14日に各州で「選挙人による投票」が行われます。ここで過半数を得た候補が2021年1月20日に大統領に正式に就任するのですが、選挙人投票日までにどちらの候補も過半数に達していない場合は、2021年1月6日に議会下院で全米50州に1票ずつ割り振られて、決戦投票が行われ大統領が選出されます。 
 
1800年代に2回、下院で大統領が選出された例がありますが、いまそんなことになったら民主主義の根幹に関わる話なので、大規模な抗議デモが起きて大混乱に陥ることも予想されます。
いずれにしても、2021年1月20日にトランプ大統領の任期は終わりますので、決着が長引けば長引くほどアメリカ政治は混乱し、内政や外交にも大きな影響が出ることは避けられません。 

(2020年11月5日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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