砂漠で発電 “エコ文明”掲げる中国の思惑
中国の砂漠地帯でいま、太陽光発電施設が次々と建設されています。現地を訪れてみると「エコ文明」を掲げて環境対策を進める習近平政権の思惑が見えてきました。
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中国・内モンゴル自治区で撮影された映像には、巨大な砂嵐の様子がとらえられていました。黄砂の発生源はどのような場所なのか。私たちは中国内陸部に向かいました。
記者「広大な中国の砂漠地帯にやってきました。砂を触ってみますと、非常に粒子が細かく、さらさらです。これが日本に黄砂として届くんですね」
日本の四国とほぼ同じ面積のクブチ砂漠。こうした砂漠から毎年、大量の黄砂が飛散しています。
付近の住民「砂嵐のときは、お互いの姿が見えないくらいひどかった」
そんな砂漠地帯で目立つのが、次のような政府のスローガンです。
『私たちは木々を守る責任がある。森林は我々の庭のようなものだ』
砂漠に木を植えて緑化する事業は、習近平政権の重点政策の一つなのです。
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さらに、この砂漠を舞台に新たな構想が動き出していました。
記者「なにも遮る物がない砂漠の地形を生かして、見渡す限り太陽光パネルが設置されています」
広大な砂漠に、延々と続く太陽光発電のパネル。中国が掲げる“ある構想”に関係しているといいます。
地元政府・王保和副主任「この発電所は砂漠化を食い止め、さらに利益を生み出します。まさに習近平国家主席の言う“エコ文明”にふさわしい場所なんです」
「エコ文明」とは環境保護と経済成長の両立を目指すとする新たな構想。習指導部肝いりの政策を形にしているというのです。
発電施設には、こんなスローガンも─。
『黄色い砂が金(きん)に変わる』
(*中国語表記「黄沙変成金」)
さらに、この動きは国外に向けても。
いま中国は、同様の太陽光発電施設を世界各国で次々と建設しています。
習近平国家主席「中国は“エコ文明”の指導者として、環境保護を優先する持続可能な発展を堅持する」
アメリカのバイデン政権が環境の分野で影響力を高める中、それに対抗するかのような動きです。米中の覇権争いが続く中、環境についても世界的な地位を確立したい中国の思惑が見え隠れします。