“党首選に出ていたら圧勝だった!? ” 再登板予測も出る中、ジョンソン氏の「次の一手」は?
6日に正式に首相を辞任したボリス・ジョンソン氏。相次ぐ政権のスキャンダルで、直近の支持率は18%まで低下していた一方、イギリス与党・保守党の党員の間での評価は根強く、「再登板」を予想する声も。首相を辞任した後の、ジョンソン氏の去就が注目されている。
■保守党員に根強い人気 首相辞任劇は「間違いだった」が多数
首相を正式に辞任したジョンソン氏は、最後の会見で、「途中でルール変更があり辞任することになったが、もう気にしていない」と述べ、強がってみせたが、任期途中での辞任に悔しさをにじませた。
ジョンソン氏をめぐっては、相次いだ政権のスキャンダルで、直近の世論調査で支持率は18%、不支持率にいたっては64%に。こうした世論の声から、イギリス国内でのジョンソン氏の評価は地に落ちたかと思いきや、保守党の党員に対象を絞った調査では、意外な結果が出ている。
「保守党の議員らがジョンソン氏を辞任に追い込んだのは正しかったか」
この質問に対し、「正しかった」が40%、「間違っていた」が55%という結果になり、「保守党員の多数派はジョンソン氏が辞任に追い込まれたのは間違っていたと考えている」ということが判明した。(※YouGovの調査より)
■“もし党首選に出ていたら圧勝だった!? ”
さらに、党首選に関しても驚きの調査結果が出た。
「もしジョンソン氏を含めて、トラス外相、スナク前財務相の3人での党首選だった場合、誰に投票しますか?」
これに対して、ジョンソン氏46%、トラス氏24%、スナク氏23%と、ジョンソン氏が2人にほぼ倍近い差をつけていて、保守党員の間での根強い人気を改めて証明した形に。(※YouGovの調査より)
保守党の議員からも、「ジョンソン氏を排除したのは大失敗だった。保守党はそのことを後悔することになるだろう」という声も出てきている。
■「次の一手」は──作家転身?
こうした根強い人気を手に、ジョンソン氏は辞任後に何をするのだろうか。
ジョンソン氏の政務秘書官はSNSで、国会議員としての職は続ける意向だと明らかにしているが、公式には辞任後のことについて、ジョンソン氏は何も語っていない。
イギリスのBBCは、ジョンソン首相が記者として働いていた経験から、「作家に転身」「元首相として講演活動」などと予想。専門家の言葉を引用し、首相時代の回顧録を高額な執筆料で出版できたり、講演活動でも高額な講演料をもらえたりすることから、「カネ稼ぎ」にいそしむのでは、と報じている。
■ウクライナの首相就任の請願署名の動きも 首相再登板は?
ロシアによる侵攻後、欧米の首脳で初めてウクライナの首都キーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領との密接な関係でも知られるジョンソン氏。5日には、首相として最後のゼレンスキー大統領との電話会談を行い、今後も友人として緊密に連絡を取り合うことで合意した。
そんなジョンソン氏を「ウクライナの首相」に就任するよう請願する署名運動がウクライナで始まっていて、6日時点で9000人以上の署名が集まっている。首相辞任後も、ウクライナへの支援という点で、ジョンソン氏への期待が大きいことがうかがえる。
一方、国内に話を戻すと、保守党の議員からは、ジョンソン氏がブレグジットを掲げて大勝したことを踏まえて、「選挙の顔」として再登板することを期待する声が。
イギリスの政治ジャーナリストもBBCの取材に対し、「彼がこの後に何をしようと、ジョンソン氏への期待は残るだろう。空白期間をおいた後に首相を務めた人は何人もいる。」と話し、再登板の可能性があるとしている。
■最後の言葉は「役目を終えたロケットブースター」 真意は?
ジョンソン氏は、最後となった議会での討論をこう締めくくった。
“また会おうぜベイビー”
「ターミネーター2」のセリフを引用したこの言葉は、首相再登板への意思表示とも解釈されている。
一方で、最後の会見では──
“私は今、役目を終えたロケットブースターのようなものだ。大気圏に突入して、太平洋の片隅に沈むだろう”
表舞台からは退くようにもとれる発言。
ジョンソン氏の真意はどちらなのか、再び首相の座に就くことはあるのか──。BBCは「人々の関心を集めることが、彼のキャリアにおける最大のスキルだ。官邸を去ったが、表舞台からは下りないだろう」と解説するなど、いやが応でも今後の動向が注目されそうだ。