温室効果ガス削減に向け…画期的な方法は?
気候変動問題を話し合う国際会議「COP26」が31日、イギリスで開幕します。温室効果ガスの削減に向けた各国の対応が焦点ですが、ある画期的な方法で減らそうという取り組みを取材しました。
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「COP26」の開催地、イギリス北部のグラスゴーでは…。
NNNグラスゴー・山田智也記者「会場周辺にはフェンスが設置されていて、立ち入る人の厳しいセキュリティーチェックも始まっています」
議長国イギリスのジョンソン首相が「人類のターニングポイント」と位置づける今年の「COP」。温室効果ガスの排出を減らすだけでなく、近年は、すでに出されたものを回収するというビジネスが活発になっています。
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スイス北部の町・ヒンヴィール。のどかな牧草地のなかに、巨大な建物が建っています。
クライムワークス担当者「あれが空気中から二酸化炭素を回収する装置です」
巨大なファンがいくつも取り付けられた装置。空気を吸い込むことで、大気中の二酸化炭素を特殊なフィルターに付着させて回収するといいます。環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんも、この場所を訪れていました。
回収された二酸化炭素は、地下を通ってトマトやナスを育てる広大な農業用ハウスへ。
農業用ハウス担当者「この小さなパイプから二酸化炭素を供給しています」
二酸化炭素の濃度を高めることで光合成を促進。これにより、およそ1割、収穫量を増やせるといいます。
このスイスの施設では、年間およそ900トン。先月、アイスランドで稼働を始めた別の施設では、およそ4000トンの二酸化炭素を回収できるといいます。
さらに、回収した二酸化炭素には、こんな活用法も…。
記者「丸い石?これは?」
担当者「この中に二酸化炭素が入っています」
丸い石にある白い斑点は、空気中から回収した二酸化炭素。固形にすることで、半永久的に閉じ込められるといいます。この小さな石が、大きなビジネスチャンスにつながっていました。
担当者「二酸化炭素回収ビジネスへの需要は、非常に高まっています。私たちは企業などの排出削減をサポートし、『削減証明』も販売しています」
環境意識の高まりを受け、いま、世界中の企業が温室効果ガスの排出削減を進めています。自社の削減だけでは足りない企業に対して「削減証明」を売ることで、収益をあげるのです。
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今週、国連組織は、各国が温室効果ガスの削減目標を達成しても、世界の平均気温は今世紀中に少なくとも2.7度上がり、地球の気候に劇的な変化をもたらすとの見通しを示しました。
今回の会議では、各国がどこまで踏み込んで一致できるかが問われています。