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ガザ南部へ60万人移動 「避難民」で人口が倍に…食料・燃料巡り大混乱 イスラエル首相は改めて“大規模侵攻”示唆

2023年10月16日 20:40

イスラエル軍による大規模侵攻の緊張が高まる中、ガザ地区は深刻な人道危機に陥っています。ロイター通信は60万人以上が南部に避難したと伝えていますが、大量の避難民で南部の人口が倍ほどになり、食料や燃料などを巡って混乱が起きているのです。

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日本時間16日午後3時半ごろ、ガザ地区とエジプトとの境界にある「ラファ検問所」には、ガザ地区からの脱出を求める多くの人が集まっていました。そこには、小さな子どもを抱えて不安げな表情を浮かべる女性もいました。

ロイター通信は、「日本時間16日午後3時からガザ地区南部で停戦し、検問所が一部開放される」と報じましたが、イスラエル・ハマス双方ともこれを否定。午後5時前には、ガザ地区側から国連の旗をつけたタンクローリーが通過していきました。

イスラム組織「ハマス」による大規模攻撃に対するイスラエルの報復の空爆が続く中、パレスチナ保健省によると、ガザ地区ではこれまでに2750人が死亡。連日、子どもを含む市民の被害が拡大しています。

一方、イスラエル側の死者は1400人以上が確認されていて、双方の死者は4100人を超えています。

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イスラエルのネタニヤフ首相は15日、ハマスとの戦いに対応するため発足させた「挙国一致内閣」の初の閣議を開催しました。この席で「兵士たちは、我々を絶滅させようとする血に飢えた化け物どもを消し去るため、いつでも動く準備ができている」とガザ地区への大規模な地上侵攻を改めて示唆しました。

こうした中、イスラエルの地下シェルターでは、ガザ地区との境界付近に住むイスラエル住民の避難者がさらに増えることに備え、支援物資が集められていました。

準備が着々と進められるガザ地区への本格的な地上侵攻。ガザ地区は東西に8キロほど、南北に50キロほどの細長い形をしています。関東の衛星画像に重ねると、東京から横浜あたりにかかります。イスラエルとの境界は壁などが設置され、「天井のない監獄」とも呼ばれる地区に220万人が暮らしています。イスラエル軍は「重要な作戦を行う」として、ガザ地区北部の住民、約110万人に対し、南部への避難を連日呼びかけています。

ロイター通信はすでに60万人以上が南部に避難したと伝えていますが、急激な人の移動が新たな問題を引き起こしています。

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15日、ガザ地区南部の主要都市ハンユニスでは、わずかな燃料を求め小競り合いが起きていました。

イギリスBBCは15日、現地の記者の報告として、約40万人だった街の人口が、一晩で倍以上の100万人になったと報じています。南部でも元々の物資不足に加え、大量の避難民が押し寄せ、大きな混乱が起きているのです。

ガザ地区北部から避難してきた女の子
「私たちを守る人もいません、私たちを助ける人たちもいません。どうやって生きればいいですか、どうすればいいか教えてください。私たちの人生は恐怖まみれです」

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死が日常にある世界で、生まれる命もありました。

「声を聞かせておくれ、パパがここにいるよ」

12日、空爆が続くガザで生まれた男の子がいました。父親はロイター通信の記者です。

ロイター通信記者 モハメド・サーレムさん
「これまで、ほどんど葬式や死者の取材ばかりしてきました。(子どもの誕生という)うれしいニュースを受け取り、幸せと痛みがまざっています、それが人生です」

国連機関の報告では、現在ガザ地区には約5万人の妊婦がおり、うち約5500人がひと月以内に出産予定だといいます。高まる人道上の危機に、各国の動きが活発化しています。

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アメリカのブリンケン国務長官はエジプトなどを訪問し、人道回廊の設置などを協議。16日に再びイスラエル入りする予定です。

また、バイデン大統領が週内にもイスラエルへ訪問する可能性が、一部メディアで報じられています。

こうした中、イラン外相は15日、国営メディアを通じて「ガザでの殺戮(さつりく)をイスラエルや同盟国が停止しなければ、我々は傍観者で居続けることはできない」と、何らかの介入の可能性を示唆(しさ)しました。

アメリカはイランなどへのけん制として、空母2隻をイスラエル周辺に展開させることにしていて、混迷する中東情勢の緊張が高まっています。

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