高級車がずらり…ぜいたくな暮らしぶり 崩壊したアサド政権“独裁”の実態、徐々に明らかに
フェラーリなど高級車がずらりと並ぶのは、政権が崩壊したシリアのアサド大統領が所有していたとみられるガレージです。そのぜいたくな暮らしぶりなど、長く続いた独裁政権の実態が、徐々に明らかになってきました。
◇
12日、シリアと国境を接するレバノンのマスナ検問所では「フリーダム!フリーダム!」と言いながら、笑顔でシリアに向かう人々がいました。
5人の子どもがいる女性も、約10年ぶりにシリアへ帰国するといいます。
帰国するシリア人
「(シリアの)自宅は壊され電気も水もありません。安全、平等を望みます」
──シリアに行ったら何をしたい?
帰国するシリア人
「自分の家を建て直したい」
一方、シリア方面に進むと…
NNNマスナ 平山晃一記者
「マスナ検問所を越えてきた所、少し行くと、シリアから逃れてきた人たちが大勢集まっています。もう3日この状態だということです」
パスポートがないため、レバノンに入国できない多くの人々が。
レバノン入国を望むシリア人
「彼ら(反政府勢力)が政権を握ったら、虐殺が始まると思います。家族と一緒にレバノンで暮らしたいです」
◇
今月8日。反政府勢力によるダマスカス制圧で崩壊したアサド政権。秘密警察を使い、市民を監視し拷問を行うなど親子2代、50年あまり独裁体制を築いてきました。
政権崩壊後、アサド氏は政権の“後ろ盾”となっていたロシアに亡命。ベールに包まれていた“アサド政権の実態”も徐々に明らかに…
アサド氏が所有していたガレージと思われる場所には…
撮影者
「これはランボルギーニです。見てください」
ランボルギーニやフェラーリなど40台以上の高級車がずらり。(CNNによる)
アサド氏が、ぜいたくな暮らしをしていたことが分かります。
◇
長い独裁が終わり、シリアに“行きたい場所がある”という人も。
帰国するシリア人
「兄は13年間行方が分からず、生死さえ分かりません。刑務所に兄を捜しに行きたいです」
「兄を捜しに行きたい」という刑務所。中でも、残虐な人権弾圧が行われているとして恐れられていたのが、首都ダマスカス近郊にある「サイドナヤ刑務所」です。政権に異論をとなえた人々も、秘密警察などによって捕らえられ、収容されていました。
反政府勢力が刑務所を開放すると、家族などを捜すため多くの人々が中へ…
家族を捜すシリア人
「兄弟、いとこなど誰か見つけることができると希望を持っていましたが、誰も見つかりませんでした」
人権団体は、ここで毎週数十人が処刑され、2011年から5年間で最大1万3000人のシリア人が殺されたと推定しています。
こうした中、反政府勢力を主導した「シリア解放機構」の指導者ジャウラニ氏は、「外国政府はシリアの現状について懸念する必要はない。人々は戦争で疲れ果て、新たな戦いは起こせない」とコメント。シリアは安定に向かっていると強調しています。(アルジャジーラによる)
◇
政権崩壊後のシリアの状況について、支援活動を行う団体は…
──政権崩壊後のシリアの状況は?
シリアで支援活動を行うUNHCR 奥田暁仁さん
「街の商店も今は開き始めてて、完全ではないが市民活動は再開しつつある」
その一方で…
──シリアの今後について
シリアで支援活動を行うUNHCR 奥田暁仁さん
「シリアは複雑な国。いろんな宗教、いろんな民族、いろんな考えを持った人が、非常に多様性を重んじてきた部分のある国。どうやって政権移行していくのか、どんな国際社会のサポートがつくのかに将来は左右される」
(12月12日放送『news zero』より)