トランプ大統領が“大量解雇” USAID元職員語る懸念 マスク氏に対して抗議
連邦予算の効率化を進めるトランプ大統領とイーロン・マスク氏。トランプ政権が進める政府機関のコストカットは、世界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
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櫻茜理記者・NNNニューヨーク
「ニューヨークのテスラショールーム前では、道路の一角を埋め尽くすほどの人が集まり、マスク氏らトランプ政権への怒りをあらわにしています」
「イーロン・マスクは出て行け!」
ロサンゼルスのテスラ販売店前でも抗議のデモが。テスラが燃やされる事件が相次ぐなど、マスク氏への反発が広がっています。
そのわけは、マスク氏による政府機関のコストカット。中でもやり玉にあがったのが、世界各地で人道支援や公衆衛生支援などを行うUSAID(=米国際開発局)です。
トランプ大統領(先月)
「我々は左翼の詐欺として知られるUSAIDを事実上廃止した」
マスク氏は、6兆円にのぼる予算は国益につながらず無駄遣いが多いとして、USAIDの閉鎖を命じたのです。
マスク氏の音声(先月公開)
「USAIDは虫が入ったリンゴでなく、ウジ虫の塊そのものだということだ」
すでに本部があった建物からはUSAIDのロゴが取り外され、1600人の職員が解雇されたといいます。
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解雇された職員の1人がNNNの取材に応じました。ウィリアム・ウェルズさんは、USAIDで10年勤務し、途上国での結核予防支援に携わってきました。
元USAID職員 ウィリアム・ウェルズさん
「全てが急展開でした。採用までは1年かかりました。解雇はたった1日でした。就任式が月曜にあって(4日後の)金曜に全ての業務を停止するように言われました。翌週の火曜には、ほとんどの同僚と共に解雇されました」
トランプ政権は、国益に貢献しない形で、数百億ドルの資金がUSAIDに費やされたと非難し、83%の事業を廃止すると表明しました。
USAIDの閉鎖によってウェルズさんは、途上国で結核などの感染症対策に深刻な影響がでると警告します。WHO(=世界保健機関)などによると、世界中で結核による死者は感染症の死因のトップで、年間125万人にのぼります。
元USAID職員 ウィリアム・ウェルズさん
「医薬品の不足が懸念されます。(結核は)アクセルから足を離すと一瞬で制御不能になる恐れがあります」
元職員の懸念をよそに、トランプ氏とマスク氏の改革が続いています。