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『トランプ関税』発動へ 日本に影響は? 各国は対抗措置…関税引き上げ合戦に突入か【#みんなのギモン】

2025年2月4日 9:33
『トランプ関税』発動へ 日本に影響は? 各国は対抗措置…関税引き上げ合戦に突入か【#みんなのギモン】
日本時間4日、アメリカのトランプ大統領が「トランプ関税」を発動することに対し、対象の国は猛反発し、対抗措置を発表。アメリカに報復した場合、さらに関税を引き上げるなど「報復には報復で対抗する」との大統領令により「報復合戦」に突入する恐れも…。

今回の#みんなのギモンでは「トランプ関税発動へ。日本に影響は?」をテーマに解説します。

■メキシコ、カナダ、中国に対する関税を追加

富田徹・日本テレビ解説委員
「アメリカのトランプ大統領が前々から言ってきたメキシコ、カナダ、そして中国に対する関税。これがついに現実のものとなりました。日本時間の4日、いよいよ発動します」

「その中身がこちら。メキシコとカナダには関税を25%、中国に対しては10%の関税を追加することになります。これに対して各国は猛反発」

「カナダのトルドー首相はアメリカからの輸入品の一部に25%のトランプ関税をかけると表明しました。また、カナダの一部の州では4日、アメリカ産のウイスキーはもう売らない!ということで棚から撤去、レストランにも卸さないことを決定するなど、反発も広がっています」

「そして、メキシコ政府も近く対抗措置を発表する予定。また、中国政府も“強烈な不満”を表明してWTO=世界貿易機関に訴える方針を示しました」

鈴江奈々アナウンサー
「アメリカファーストで、トランプさんが強く出たこの政策に対して、各国も何もせずにはいられないという状況で対抗したり報復したり、すでに発表されていますけど、これが報復合戦になっていかないかと心配です」

斎藤佑樹キャスター
「トランプ大統領の応酬はよく見るのですが、その結果、消費者が苦しむことは避けたいですね」

■各国の報復 関税引き上げ合戦に突入か

富田解説委員
「その影響や報復合戦が心配になるのですが、そもそも、大統領令にはカナダなどがアメリカに報復した場合、さらに関税を引き上げるなど、報復には報復で対抗する内容が元から含まれています。さらにトランプ氏はカナダの動きを受けて、こう発言しました」

トランプ大統領
「もし(カナダが)報復したければかまわない。いくらでも付き合う。明日の朝、カナダのトルドー首相と話し、メキシコとも話す。あまり劇的な変化は期待していない」

富田解説委員
「解決は期待できないだろうという感じで、トランプさんも受けて立つぞとやる気満々なのですが、これ際限の無い関税引き上げ合戦に突入する恐れもあります」

森圭介アナウンサー
「トランプ大統領は、不法移民だったり薬物をアメリカに入れないための措置だと言っていますが、結果、関税が上がると国のなかの物価が上がりますから、苦しむのは国民ということになりますけどね」

富田解説委員
「まさにそこですよね。アメリカメディアも『歴史上最も愚かな貿易戦争と』酷評しています。(この関税は)アメリカの人々の生活にも大きな影響がありそうです」

■アメリカ輸入相手上位 関税対象の3か国

富田解説委員
「2023年のアメリカの輸入相手国は、1位メキシコ、2位中国、3位カナダ、関税の対象になった国です。この3か国からは自動車や石油からおもちゃ、アボガドまでアメリカ人の生活に欠かせないものを大量に輸入しています」

「なので、この3カ国からの輸入品の関税が上がると、値段も上がってアメリカの消費者を苦しめることになります」

瀧口麻衣アナウンサー
「お互いに関税をかけたり追加したりということですけど、誰も幸せにならないですよね」

富田解説委員
「トランプさんは多少の痛みはあるけど大丈夫と言っています。例えば『カナダが持っているものは何も必要ない。アメリカには無限のエネルギー、そして使い切れないほどの木材がある』と言っています」

■次に関税を課す対象に EUそして日本は…

富田解説委員
「さらにトランプさん、こんな不吉な発言もしました。次に関税を課す国はどこかと聞かれて『EU=ヨーロッパ連合は間違いなく対象になるだろう』と言いました」

「これのどこが不吉かと言うと、アメリカの輸入相手国の順位には続きがありまして、4位がドイツ、5位が日本なんです。さっき、やり玉にあげられていたEUの主要国がドイツで、その額が多いから標的にされたとなると、5位は大丈夫かと、影響が心配になります」

斎藤キャスター
「まさに日本への直接の関税もそうですけど、上位4か国には日本の企業の工場などもあるので、そのあたりも大変」

■日本の自動車メーカー アメリカ輸出に影響大

富田解説委員
「日本への直接の関税引き上げも心配ですが、まず、日本は自動車メーカーがカナダやメキシコに生産拠点を置いていて、その影響が懸念されます」

「まず、メキシコには日産、トヨタ、ホンダ、マツダの工場があります。現地で生産した車の多くがアメリカに輸出されています。ジェトロ=日本貿易振興機構によりますと、2023年にはメキシコで日産が約62万台を生産し、その約4割をアメリカに輸出。ほかの企業も約5割から9割をアメリカに輸出しています」

「これ各社、結構な割合ですよね。そしてカナダにもトヨタとホンダの工場があって、この2社で、カナダ国内で生産された車全体の約6割を占めています」

「もともと、アメリカとカナダとの間では一定の条件を満たせば、関税がゼロで輸出できていた。だからこそ日本企業も、アメリカに輸出しやすいこの2か国に工場を置いてきましたが、関税25%に上がれば今後、業績への影響が懸念されています」

鈴江アナウンサー
「供給体制を見直すというのは簡単なことではないし、打撃は避けられないですよね」

富田解説委員
「2日、経済産業省とジェトロは共同で、新たに、企業からの相談専用の窓口を設置しました。すでに製造業の会社からの相談がきているそうです」

■日米首脳会談へ 石破総理大臣の考えは

「こうした中、現地時間の7日には石破総理大臣とトランプ大統領の日米首脳会談が首都ワシントンで行われる見通しです」

「トランプ大統領から関税などで、何かふっかけられないか心配ですが、石破総理は、トランプ大統領に日本企業がアメリカにたくさん投資していることや、アメリカ人をたくさん雇っていますよ、というデータなどを説明して理解を得たい考えです」

「これはかつて当時の安倍総理大臣もやったやり方なんですね。それで当時のトランプさんは上機嫌になったんですが、今回またそれが通用するかどうかが焦点です」

鈴江アナウンサー
「本当に強いリーダーシップを発揮しているトランプ大統領ですから、それだけ首脳外交が大きな意味を持ちますし、最初の首脳会談になりますのでいい関係性が作れるといいなと思いますね」

森アナウンサー
「大統領令の一筆で、これだけ大きなことが決まってしまうのは、若干、先行き不透明感がぬぐえませんから、今後の動向に注目ですね」

富田解説委員
「世界にとっていかにマイナスかということを、トランプさん自身に理解してもらうしかないので、各国の外交力も問われることになります」

(2025年2月3日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト

最終更新日:2025年2月4日 9:37