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娘・ジュエ氏が後継者との臆測も… 金総書記は“超大型砲”の一斉射撃訓練を視察

2024年3月19日 22:48
娘・ジュエ氏が後継者との臆測も… 金総書記は“超大型砲”の一斉射撃訓練を視察

北朝鮮は金正恩総書記が超大型ロケット砲の一斉射撃訓練を18日に行ったと明らかにしました。さらに、北朝鮮メディアがジュエ氏とみられる娘に使った「嚮導(きょうどう)」という言葉が、臆測を呼んでいます。

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19日、北朝鮮のお昼のニュースに壮大なBGMとともに登場したのは、金正恩総書記です。身ぶり手ぶりで、隊員に指示していたのは、超大型ロケット砲の一斉射撃訓練です。18日に日本海にむけて発射された短距離弾道ミサイルのことだとみられます。

アナウンサー
「射撃命令が下されると、超大型ロケット砲の戦闘員たちは、誇りを一挙に発散させ一斉に壊滅の砲門を開いた!」

音楽に合わせて、ミサイル発射の様子を放送。写真だけではなく、6発のミサイルが一斉に発射される動画も放映されました。見守った金総書記はガッツポーズとともに、笑顔を見せました。北朝鮮メディアによると、訓練に大きな満足の意を示したといいます。

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16日には、式典に出席する様子が伝えられた金総書記。隣を歩いていたのは、ジュエ氏とみられる娘です。実はこの日の放送をきっかけに、金総書記の後継者が“ジュエ氏”なのでは?という臆測が広がっています。その発端となったのが、アナウンサーが2人に対して発した“ある言葉”です。

アナウンサー
「 “嚮導(きょうどう)”の“偉大”な方々が、党や政府・軍部の幹部たちとともに温室農場を見て回られた」

「人々の先頭に立って導く」という意味の「嚮導」、そして「偉大」。北朝鮮に詳しい専門家は、驚いたといいます。

北朝鮮政治が専門 慶応義塾大学 礒崎敦仁教授
「『嚮導(きょうどう)』は、主語が朝鮮労働党、もしくは最高指導者にしか使われない。『偉大な』というのは、金正恩氏が最高指導者になってようやくつかんだ尊称。それを若い娘に対して付けたのは、かなり踏み込んでいるように思う」

ジュエ氏とみられる娘が初めて公開されたのは、2022年です。その後も、軍事パレードなどで2人並んで歩く姿が、度々報じられてきました。

朝鮮中央テレビ(去年8月)
「敬愛する金正恩同志が愛するお嬢様とともに…」

これまでは「愛するお嬢様」や、「尊敬するお子様」などと紹介されていましたが、今回、金総書記とともに “ジュエ氏”は「嚮導で偉大な方々」と紹介されました。ただ、このあと午後に放送された同じニュースでは、少し表現が変わっていました。

朝鮮中央テレビ(16日午後の放送)
「敬愛する金正恩同志は続いて党や政府、軍部の幹部たちとともに温室農場を見て回られた」

「嚮導」や「偉大」という言葉は使われない形になっていました。これが意味することは――

北朝鮮政治が専門 慶応義塾大学 礒崎敦仁教授
「重要な注目点。一度『嚮導の偉大な方々』と持ち上げたのに下方修正した。つまり金正恩氏の娘をどのように宣伝していくか、調整中だということを示している。今後、彼女に対する敬称が継続して使われるかどうかが、彼女(娘)が後継者として地位を盤石なものにしていくかどうかのバロメーターになりうる。現段階では彼女(娘)が後継者と見ていいだろうと思う」

ジュエ氏の動向が今後どのように伝えられるのか、注目されます。