【難病】プラごみをアクセサリーに 車椅子のネイリスト 制作にかける思い『every.特集』
神奈川県・茅ヶ崎海岸。地元のサーファーたちで賑わう中、砂浜に現れた車いすの女性。有本奈緒美さんだ。砂浜に座り場所を決めると砂をふるいにかけていく。すると何か小さなものが現れた。それはプラスチックのカケラ。およそ15分もすると、たくさんのプラスチックゴミが集まった。
「今ちょっとしかふるいにかけていないけど、このくらいすぐに拾えてしまう」と語る有本さん。河川などから海に流れたプラスチックごみは、漂流するうちに細かくなり生態系に影響を与えるといわれている。
おもちゃがそのままの形で流れていたり、ペットボトルのキャップの破片も多く落ちていたりするという。有本さんは2年前から海岸のゴミを集めている。たとえ車イスに乗った生活でも、社会の役に立ちたいという思いからだ。
有本さんは夫と3人の子供の5人暮らし。9年前に難病を発症し、車イス生活を余儀なくされた。障害があっても仕事をしたいと、ネイリストの資格を取り、5年前にはネイルサロンをオープン。店内はバリアフリーのため、今では車イスのお客さんも訪れる。
有本さんが扱うネイルチップは、お客さんのオーダーに合わせ、有本さん自身が手作りしたもの。生活スタイルや爪の形に合わせて、長さや形を整えている。そのネイリストとしての腕を生かして海で回収したプラスチックごみを材料に、オリジナルのネイルチップやアクセサリーを作っている。
最初はゴミを集めるだけだったが、何かに活用できないかと考えて思い立ったのだ。有本さんは「常に環境問題も意識できるし、おしゃれも楽しめる」とその狙いを語ってくれた。
拾ったプラスチックごみを手作業で細かく刻み、小さくした破片を、型に入れ透明のジェルで固める。
するとハート型のパーツになった。ネイルチップの飾りだ。
アイロンでマイクロプラスチックを溶かすと、色が混ざり合い、独特な美しい模様になる。そこに自らデザインした画を描き入れると、手作りのイヤリングに。同じものは作れない。本当に1点モノだ。有本さんはこのネイルチップやアクセサリーの売り上げの一部を、海岸を清掃するボランティア団体へ寄付している。
6月上旬。およそ70万人が訪れる横浜開港祭に有本さんの姿があった。環境問題を考えるコーナーの一角でプラスチックごみを使ったネイルチップやアクセサリーの販売などを行うのだ。
夫の昌人さんと、二女の美凛愛さんも手伝いに来ていた。果たしてお客さんたちは関心を示してくれるだろうか?有本さんは自分の作品通じて、環境への思いを伝えようとする。
※詳しくは動画をご覧ください(7月19日放送『news every.』より)