5月は要注意! こどもの命を守るベランダからの転落対策とは?
過ごしやすい気候になり、窓を開けることが増える5月。実は、こどもの転落事故に注意が必要な時期と言われています。
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東京消防庁の管内で、2019年から2023年にこどもたちが、ベランダなどから転落して搬送された数は65件。そして、最も多く搬送されたのが、5月の19件でした。今回は、こどもたちがベランダから転落しないようにするための対策や取り組みを取材しました。
お話をうかがったのは、こどものケガや事故を減らす取り組みをしている”Safe Kids Japan”で、理事を務めている大野美喜子さんです。
Safe Kids Japan・大野美喜子理事
「やっぱりこどもが小さい時には、ベランダには何も置かないことが大事な対策の一つ」
例えば、よくベランダに置かれることが多い、イスやゴミ箱、プランターなどは、こどもが踏み台にして登ってしまい、転落する危険性が上がるといいます。
では、こどもはどの程度の高さならば、ベランダの柵を乗り越えられるのか?
国の基準では、マンションなどのベランダの柵の高さは、転落防止のために、110センチ以上にする必要があります。実際に、高さ110センチのベランダにみたてた柵を、こどもは乗り越えることができるのか検証した映像を見てみると。足をかける場所があれば、2歳でも8秒ほどで乗り越えてしまうことがわかりました。
Safe Kids Japanの大野さんによると、子供が転落するリスクをなくすためにも、ベランダに物を置くことは、絶対にやめるべきだと言います。ただし、室外機などどうしても、外に設置しなくてはならない場合は、柵から60センチ以上離すことを勧めています。また、こどもは常に成長していくもの。対策も先行して行う必要が、あるといいます。
Safe Kids Japan・大野美喜子理事
「やはり3歳や4歳だとかなり身体能力も高くなってきている。結構な高さでもこどもが乗り越えることができるようになる」
今度は、4歳の男の子が、高さ110センチの柵を乗り越える様子を見てみます。驚くことに、4歳ともなると、わずか4秒で乗り越えてしまいました。この検証実験に参加した4歳のこどもたちの約7割は、110センチの高さを乗り越えられるという結果に終わったそうです。
こうした、こどもたちの危険を少しでも減らそうと、窓やサッシなどを扱うメーカーでは、ある取り組みをしていました。それは、内側へ向いている手すりの開発です。通常、手すりは柵の真上についていることが多いのですが、少し内側に向けただけで、こどもたちは、登りにくくなるといいます。
YKK AP商品開発本部・梶村友里さん
「手をかけた際に頭が後ろ側に倒れるので、重心がずれて登りにくいということがあります」
こちらの手すりの設置は、新築の住宅だけでなく、リフォームにも対応しています。
また、Safe Kids Japanの大野さんによると、最も効果的な転落対策は、窓の高い位置に補助錠を設置しておくことだと言います。補助錠を設置することで、こどもが一人でベランダに出られないようになると言います。
補助錠の設置については、現在、様々な自治体でサポートをしています。例えば東京都では、補助錠の設置などを含む、安全確保のための工事費用の3分の2を支援しています。一方、愛知県名古屋市は、2024年の6月から、5歳以下の子どものいる世帯に補助錠を無料配布すると発表しました。
成長がはやいこどもたち。命を守るためにも、“まだ大丈夫”と思わずに早めの対策を心がけてください。