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“思い入れのある一着”で家族写真を…体の不自由に合わせて着やすく“お直し”

2023年1月19日 17:53
“思い入れのある一着”で家族写真を…体の不自由に合わせて着やすく“お直し”

茨城県つくば市で暮らす五十嵐さん一家。高校2年生のここねさんは重度の脳性まひがあり、休日などは姉・ねねさんも食事の介助をしているが、妹は「一番癒やしをくれる存在」と話す。 家族には、“思い入れのある一着”が。それは、母・純子さんが成人式のときに自身の給料で買ったスーツ。時を経て、姉・ねねさんも折に触れて着用してきた。

次はこのスーツを、ここねさんのフォーマルウエアにしたい。そして、久しぶりに家族写真を撮りたい… 。しかし、ここねさんは脳性まひの影響で腕の曲げ伸ばしが自分ではできないため、スーツを着せようとするとつらそうな様子がみられるという。

純子さんは「何でこんなに着替えるだけで大変なんだろう。ここねのせいでもないのにこんなにつらくなっちゃうんだろう」

そこで純子さんが依頼したのは、“体の不自由に合わせて服を直したい人”が、“直す技術を持つ人”を探し、オンラインで依頼できるサービス「キヤスク」。大手アパレル企業に勤めていた前田哲平さんが、障害のある人たちやその家族から服の悩みを聞き取りして立ち上げたサービスだ。

前田さんは「(聞き取りした人たちは)着やすさを優先しないといけないことによる選択肢の少なさに悩んでいた。誰でも自分の好みの洋服を着ていただいて、心豊かに日常生活を送ってほしい」

スーツをお直しするのは、大阪府に住む芦田絵里さん。裁縫歴は20年以上で、生まれつき脊椎の一部が異なる形をしている娘・緯(いお)さんが使いやすいようにズボンを“お直し”してきた経験を持つ。

実は、「キヤスク」のお直しスタッフの3分の2が、障害のある子どもの母親だ。お直しの内容は、ここねさんが楽に着られるようジャケットの脇から袖にファスナーを通し、パンツも後ろのウエスト部分をニットの生地に変えてからゴムを通し、体にフィットしやすくした。

数日後、五十嵐さんのもとへお直しされたスーツが届いた。 ファスナーが付いたことでジャケットの両脇が開くようになり、広げたジャケットの上にここねさんを寝かせて袖口部分に腕を通しファスナーを閉めれば着られるようになった。

スーツを着たここねさんとともに五十嵐さん家族が訪れたのは、写真館。七五三の写真を撮った思い出の場所で、祖父母たちも一緒に念願の家族写真を撮影。フォーマルな装いのここねさんを見て、純子さんは「久しぶりにみんなでそろって家族写真を撮ったことが楽しくてうれしかった。写真を撮るときにここねが“ちゃんとした洋服”を着られたという満足感が強い」 。家族にとって“思い出の一枚”が増えた。

※詳しくは動画をご覧ください。(2023年1月16日放送「news every.」より)

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