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【秋田県知事選挙特集①】検証 秋田が抱える課題 "若者の県内定着" 秋田で新たな挑戦を始めた若者たちは… 

2025年3月21日 17:57
【秋田県知事選挙特集①】検証 秋田が抱える課題 "若者の県内定着" 秋田で新たな挑戦を始めた若者たちは… 

来月6日に投票が行われる県知事選挙に向け、ABS news every.では秋田が抱える様々な課題を検証していきます

1回目は若者の県内定着についてです。

去年9月までの1年間に就職や転勤などで秋田から県外に転出する人が転入する人を上回る社会減は3039人にのぼりました。このうち、20代から30代が1786人と全体の約6割を占めています。

人口減少が加速するなか若者の県外流出をどう防ぐかや、県外から秋田へ戻るAターンの促進が大きな課題です。

こうした中、秋田での暮らしをより楽しもうと活動を続ける若者たちが秋田市にいます。ポイントは視点を変えることでした。

■3月8日
秋田市の通町商店街のほど近く。

かつてこの地で造り酒屋を営んでいた「菊屋」が名前の由来となった菊谷小路です。

ここに、1月下旬、新たなスポットが誕生しました。

まず目に入るのが古着店。約200点を取り揃えています。

去年まで自動車ディーラーの営業マンだった男性が経営者です。

木内颯太さん(25)
「捨ててしまうはずのものが誰かに渡ることでいい循環というか、その循環すごくいいなと思ったのがきっかけで。」

点の先に文章が続くように、新たな持ち主の元で物語を紡いでほしい。店の名前にはそんな思いが込められています。

新たな一歩を踏み出した人は他にも。

堀井果乃歩さん
「このあとは6時からの開店に向けて仕込みをします。」

国際教養大学を21日に卒業した秋田市出身の堀井果乃歩さん23歳です。

同級生の多くが県外に就職する中、ここで小料理店を開くことにしました。

卒業式を2週間後に控えたこの日がプレオープン。幼い頃から料理が好きだった堀井さん。大学では友人などにその腕前を披露してきました。その数100回以上。ジャンルを問わず、様々なメニューをこなします。

食べた人の心を少しでも豊かにしたい。数あるレパートリーの中から店で提供するのは母親がよく作ってくれていたものばかりです。

堀井果乃歩さん
「そこには愛があるので、私も自分なりの愛を込めることでお 客さんにそれを受け取ってもらえるのではないか。それで少しだけでも豊かにできるんじゃないかなっていう思いで作ってます。作る自分がすごい楽しむことをいつも大事にしています。」「あ、焦げた!」

堀井さんがここで小料理店を開くきっかけをつくったのは3年前に北海道から秋田に戻った鷲谷建さんです。

鷲谷建さん(25)
「地元の友達とかみんながもう少し日々を楽しめるような活動が出来ないかなっていうんで、AKITA"KARA"を始めました。」

2年前に若者でつくる団体、AKITA"KARA"を立ち上げた鷲谷さん。魅力だけでなく、課題も受け止めながら秋田での暮らしを面白くするプロジェクトを育んでいこうと活動しています。

アイデアが生まれるきっかけづくりのため、月に1回程度トークイベントや交流会を開催。堀井さんもメンバーの1人でした。

そして去年、鷲谷さんは約700万円を借り入れ、寝具店だった建物を改装。メンバーの活動拠点を構えました。

完成から約2か月。鷲谷さんは、すでに2つ目の拠点づくりに動いています。

やってきたのは同じ菊谷小路で、100メートルほど離れた所にある1軒の空き家です。

鷲谷建さん
「もともとは普通に住宅で2月まで住まれてた方がいたんですけど、その方が秋田を出られるタイミングで僕らが受け継いで借りることにしました。」

築50年あまりの木造住宅。

解体され、駐車場になる予定でした。

「入り口が狭くて後ろに長い、細長い家で結構面白いなって町歩きながら僕は思ってて、これって多分壊しちゃったらまたなかなか作れないんじゃないかと思って、それで残したいと思ったんですよね。」

うなぎの寝床とも呼ばれる土地の形は間口の広さに応じて税金が課されていた時代の名残。

様々な商店が軒を連ねた菊谷小路もかつての姿を失いつつあります。

新しいものを作るだけがまちづくりではないと話す鷲谷さん。

若い人たちが次々に県外へ出ていく様子を目の当たりにする中、中学時代の同級生と再会しAKITA"KARA"の活動を始めました。

藤木直哉さん(25)
「サラリーマンやっててただ会社で働いている中でも、おもしろく過ごせるのではないかと、アキタカラで気づけた」

鷲谷さん「自分たちが見方を変えるだけでこんなに毎日いろんな出会いがあったりいろんな新しいことができるんで、今は結構面白い日々ですよね」

藤木さん「そこそこ面白いっすね。」

視点を変えれば見つかる秋田の魅力。それを形にしたのが、去年発行した冊子です。

名店や特産品だけでなく人にもスポットを当てています。制作には高校生や大学生も関わりました。

午後6時。堀井さんの小料理店がプレオープンの時間を迎えました。

誰もが実家のように、ほっこりできる空間にしたいと考えています。

足を運んでくれたのは同級生やAKITA"KARA"のメンバーです。

母親の味を大事にしながら新たな一歩を踏み出した堀井さん。

堀井果乃歩さん
「“ちょっと私も挑戦してみよっかな”みたいな自分の周りの友達とかがそう思ってくれるような存在になれたらいいなと、それがもしかしたらまた秋田に帰ってくる人が増えるとか、秋田で1回頑張ってみようという選択肢に入れてみるとか、そういうことにもつながるかな。つながったらいいなというふうに思います。」

堀井さんの同級生
「同級生でこういう料理店とか経営とかしてる子は初めてなので、“すごいな”の一点張りです。」

同級生の友人
「誘われてきたんですけど、秋田出身の方がこう頑張っててか、やってるとすごいうれしく思います。」

プレオープンから2時間。堀井さんのお母さんが花束を手に訪れました。

堀井果乃歩さん
「母なので意味を込めていると思うんですけど、こっちのお花が良く分からないですね。後で聞いてみます。」

母が贈ったのは花言葉のひとつが「個性的」、ヒスイランでした。自分らしさを大切にしながら店を切り盛りして欲しいというメッセージが込められていました。

この春も多くの若者が秋田を後にします。

そうした中、身近な人や古くから伝わる建物を大切にしながら秋田での暮らしを楽しもうと活動する若者たち。

鷲谷建さん
「おいしいご飯を一緒に食べるとか、楽しいイベントを一緒にやるとか、おもしろいことをやるとそこから人間関係というか作られていくんで。みんなやりたいことってあるんですよね。思ってることもたくさんあるから、それをできる限り引っ張り出して一緒にやっていこうみたいな感じですね。」

人口減少に歯止めがかからない中、若者たちの視点を変えた取り組みがここ“秋田から”始まっています。

県知事選挙では争点の 一つに人口減少対策があげられます。

県民の関心が高い課題でもあり、新たな知事にはその成果が求められていくことになります。

最終更新日:2025年3月21日 18:54
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