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「全部で10万円はした」値上がりする学校の制服→着なくなったら必要な人へ リユースでつなぐバトン

2025年3月17日 18:18
「全部で10万円はした」値上がりする学校の制服→着なくなったら必要な人へ リユースでつなぐバトン

17日、福岡県内のほとんどの公立高校で合格発表がありました。およそ2万4000人の合格した受験生が喜びの春を迎えています。まもなく迎える新入学の季節。不要になった学生服を必要な人へつなぐ、リユースの輪が広がり始めています。

街で子育て世代に、学生服について尋ねました。

■小学生の親
「全部で10万円はしたと思います。ジャケット、ブラウス、スカート、セーターもあったので。シャツは1枚だと足りないから2・3枚買った。」
■高校生の親
「7万、8万円くらいしたような。(夏服など全部で)カッターシャツ2枚ずつ買って、ズボンも。やっぱり高いなと思います。」

総務省の調査によりますと、福岡市の公立中学校の冬服上下の平均価格は、男性用で2017年に3万4075円だったのが、ことしは4万8475円。女性用も3万3850円だったのが、4万7475円。いずれも、この8年間で、およそ1万4000円ほど値上がりしています。

そんな中、注目を集めるのが学生服のリユースです。福岡市博多区にある学生服専門のリユース店です。店内には、福岡市内の小学校から高校の制服や体操服、かばんなどが並んでいます。卒業して着なくなったものなどを買い取り、販売しています。

福岡市の公立中学校の冬服上下とシャツのセットは、新品の3分の1以下の1万5100円です。また、公立中学校のネクタイも新品だと2000円以上のものが、リユース品だと700円です。

安さだけでなく、気持ちよく着てもらうためのこだわりもあります。

■学生服リユース ecocoオーナー・田中博美さん
「すべてクリーニングに出していて、シャツやブラウス類は、襟と袖口をすべてブラシでこすって、一晩漂白につけ込んで、襟元などがきれいになったものだけを販売しています。」

この春は、中学校の入学準備だけでおよそ70世帯が購入しました。また、新入学以外でも、サイズが合わなくなった人や破れてしまった人の利用があるということです。

■田中さん
「卒業してすぐ持って来て『ことし入学の人に役立てて』とか『あまり着ていなかったのできれいだから誰か次の人に使ってほしい』という思いで持ってこられることが多いです。気持ちのバトンをつなぐ活動ができたら。」

学生服を再利用しようという動きは、ほかにもあります。

佐賀県唐津市にある「子どもの居場所じゃんぷ」は、放課後児童クラブの支援員を10年以上務めた田中雅美さん(54)が、家でも学校でもない第3の居場所として、小学校のそばにオープンしました。この日は学校帰りの小学生たちの姿がありました。

田中さんが子どもたちの進学を支援しようと始めたのが「学生服バンク」です。寄付によって集まった使わなくなった学生服などを、経済的な理由で購入が難しい家庭を中心に、無償で提供しています。

■社団法人キラキラヒカル・田中雅美 代表理事(54)
「『子どもの居場所』を利用する子どもたちの中には、経済的に大変難しい家庭もありますし、こういうの(学生服バンク)があったら、もっと親たちが助かるのではないか、喜ばれるのではないかと。」

学生服バンクを本格的に始めたのは3年前です。口コミなどを通して、寄付や受け取りの問い合わせが徐々に増えてきました。去年は40人以上に、学生服や学用品をつないだということです。

■田中 代表理事
「地域の資源をどんどん回していくという循環も大事だと思うし、買うことも一つの選択肢であり、もらうことも一つの選択肢であり、どちらも認め合える地域になったら、もっとやさしい唐津市になるのではないかと思います。」

着なくなった学生服を、必要とする人につなぐリユースの輪。子どもたちの学びをやさしく応援しています。

上記の福岡市の学生服リユース店によりますと、県立高校の合格発表がある17日と18日は、高校の制服の問い合わせが増えるといいます。

現在、高校の制服は30校以上の取り扱いがあるということで、HPで在庫確認ができます。「ecoco博多店」で検索してください。

最終更新日:2025年3月17日 18:18
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