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【分析】“商品券問題”で永田町の雰囲気はどう変わった? 与野党議員ら100人に再び緊急アンケート…身内からの“退陣論”が急増も野党は継続望む傾向

2025年3月17日 20:41
【分析】“商品券問題”で永田町の雰囲気はどう変わった? 与野党議員ら100人に再び緊急アンケート…身内からの“退陣論”が急増も野党は継続望む傾向

石破首相が自民党の新人議員に10万円相当の商品券を配った問題で、石破政権は大きなピンチを迎えています。“商品券問題”直後の世論調査で支持率が急落する中、日本テレビ政治部は与野党議員ら100人に緊急アンケート取材を実施。昨年末に行った同様のアンケートを比較すると、大きな違いが見えてきました。

■世論の変化:“商品券問題”75%が「問題だと思う」

“商品券問題”発覚後にNNNと読売新聞が行った世論調査で、内閣支持率は31%と政権発足以来最低を記録。「支持しない」は58%で、前回より15ポイントも急上昇しました。“商品券問題”についても「問題だと思う」と75%が回答し、「石破首相が信頼できる」と答えた人は9ポイントも急落して15%となりました。

「政治とカネ」の問題には縁遠いと思われていて、クリーンなイメージや庶民的な感覚に強みがあった石破首相だからこそ、世論からの失望を招いてしまったという分析も。この週末に地元で活動した、ある自民党議員は「風当たりが、とても厳しい。デパートの商品券という、わかりやすい話だからこそ、ダメージが大きい」と苦しい表情を見せます。

■永田町の変化:“敵”の野党より“身内”の与党が退陣望む?

世論の変化だけでなく、永田町の変化も数字で分析するため、日本テレビ政治部は与野党の議員ら100人に緊急取材をしました。「石破政権は、いつまで続くと思うか?」という質問に対して、選択肢は以下の3つ。得られた有効回答は73人でした。

(1)今年(2025年)の春まで 予算成立と引き換えに退陣:28人
(2)6月下旬まで 通常国会の閉幕に合わせ退陣:12人
(3)7月以降も続投 参院選も石破首相で:33人
(「わからない・回答なし」は27人)

日本テレビ政治部は昨年(2024年)の年末にも同じアンケートを与野党議員ら100人に行っており、全て同じ回答者ではありませんが、回答を比較してみます。

参考:前回の100人アンケート結果
https://news.ntv.co.jp/category/politics/3fe81a666c9d43928a78139e130ba623

【前回→今回の変化】
(1)春までに退陣 19人→28人
(2)会期末で退陣 17人→12人
(3)参院選まで石破首相 64人→33人

また、与野党別の内訳はこのようになりました。

大きな変化は「予算案成立と引き換えに退陣」と答えた層が増えたことです。特に与党内で、そう回答した人数が7人から19人に大幅に増えており、有効回答数は今回の方が少なかったことを考えると、かなり大きな変化と言えます(表の赤い部分)。石破首相の、いわば「敵」となる野党より、「身内」の与党議員の方が早期の退陣を予想する数が多かったことになり、この4か月で永田町の雰囲気が一変したことがわかります。

また、石破政権が窮地に立っているにもかかわらず、野党の中で最も多かった回答は「参院選まで石破首相」でした。野党にとって、石破首相が退陣して新しい顔で参院選に臨まれるより、「いまの石破首相のままでいい」という思惑があるとみられ、本来攻めるべき野党が続投を望み、守るべき与党が退陣を望む「奇妙なねじれ」が生じています。

一方、3つの選択肢の中では回答の少ない「会期末で退陣」ですが、よく分析すると野党(特に立憲民主党)からの回答が多いことがわかりました。野党が内閣不信任案を提出することが多い会期末。ある立憲幹部は「野党が不信任案を出して、石破首相は解散せずに退陣だろう」と予想しています。また、ある与党幹部は「もし国会会期中に総裁選を行うと、国会を止めてしまうことになる。重要法案も多い中で、国会が終わるまでは石破首相は続けるのではないか」と国会審議への影響も指摘しています。

■それぞれの回答、それぞれの声

回答した国会議員らからは、以下のような声がありました。

(1)今年(2025年)の春まで 予算成立と引き換えに退陣:28人

「かなりヤバい。参院自民党が持たない」(自民ベテラン)
「石破さんが一番大事にしていた地方から突き上げがあるのが一番厳しいのでは」(自民ベテラン)
「地元周りでは四面楚歌だ。(衆院選での)2000万円問題の時と雰囲気が似ている」(公明中堅)
「党内で支える人もおらず、もう持たないのでは」(立憲中堅)

(2)6月下旬まで 通常国会の閉幕に合わせ退陣:12人

「予算を乗り切っても、参院選までは持たない」(自民中堅)
「予算審議の後も二の矢、三の矢があるのでは」(立憲若手)

(3)7月以降も続投 参院選も石破首相で:33人

「こうした時こそ、まとまらないといけない。党としての体質を問われている」(自民ベテラン)
「火中の栗は拾わない人が多いのでは」(現役閣僚)
「参院選に向けて生殺しした方がいい」(立憲ベテラン)
「単純に次がいない。代えると言っても誰に代えるのか」(維新幹部)
「総理を代える体力が、いまの自民党にない。このまま、ずるずるいくのでは」(国民幹部)
「衆院での少数与党は変わらない。自民党の地獄は続く」(省庁幹部)

石破首相に対する逆風は、これまでにないほど強まる中、野党の戦略や与党内の勢力バランスなどが複雑に絡み合い、先行きが不透明な状態が続いています。

最終更新日:2025年3月17日 20:41