バハマ“海の森”どう守る? 人々の習慣とは…街中にヒントも【バンキシャ!】
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カリブ海に浮かぶ島国・バハマ。桝太一キャスターは「あこがれの海に潜ってまいります!」と海に潜ると、バハマの海で見たのは…。
桝太一キャスター
「すごい!ウミガメだ!」
たくさんの生き物たち。そして、あたり一面に広がる海草(うみくさ)だ。光合成で二酸化炭素を吸収する海草は、“温暖化対策の救世主”。それがまるで森のように広がっていた。
バハマの「海の森」。その面積は、実に関東地方の3倍ほどで“世界最大”とされる。ここで暮らす人々は、この豊かな“海の森”をどうやって守っているのか──。そのナゾを解き明かすため、南国・バハマの街を桝キャスターが徹底調査。見えてきたのは、暮らしに根付いたある取り組みだった。
桝キャスターはバハマの首都、ナッソーへ。
桝太一キャスター
「バハマの中心街です。にぎやかですね!」
世界屈指のトロピカルリゾート。街もビーチも多くの観光客でにぎわっていた。この国の人々にとって、「バハマの海」とは──。桝キャスターは、さっそく聞き込みを開始。
桝太一キャスター
「グッドモーニング」
女性
「グッドモーニング」
桝太一キャスター
「バハマの海を取材している日本のテレビクルーです。質問してもいいですか?」
女性
「わたしでよければ答えますよ」
桝太一キャスター
「バハマの海はすごくきれいですけど」
女性
「バハマ人にとってこの海は誇りなんです。夏はたくさんの子どもたちが海に集まるんですよ」
ビーチで出会ったのは、観光客のために毎日この場所を掃除しているという男性。地元の観光会社で働いてるという。
桝太一キャスター
「海はどういう存在ですか?」
男性
「人生の一部です」
「この海には毎日、世界中から観光客がやってきます」
「そのおかげで私は生計を立て、子どもや家族を養うことができる。海のおかげで学費や家賃を払えるんです」
◇
バハマの人々にとって、海は“人生になくてはならないもの”。では、そこに広がる“海の森”をどうやって守っているのか──。そのナゾに迫るため、桝キャスターが向かったのは地元のスーパーマーケットだ。
「バハマのスーパーってどういう感じなんでしょう。おじゃまします」――店内に入ると最初に果物が。果物より桝キャスターが気になったのは…。
桝太一キャスター
「海外のスーパーに来ると、真っ先に向かうのが魚売り場」
「フレッシュ バハミアン コンクありますね」
バハマのソウルフード、コンク貝。
桝太一キャスター
「その奥にはザリガニですね。カキとかいいですね。アサリの仲間(リトルネッククラム)も売っています」
豊かな“海の森”の秘密はどこに…? 会計の様子を見ていた桝キャスターがあることに気づいた。
桝太一キャスター
「大きい!大きいエコバッグ」
「こっちの人もエコバッグだ」
さらに。
桝太一キャスター
「マトリョーシカのごとくエコバッグが出てきました」
買い物客は全員エコバッグを持参。日本ではプラスチック製のレジ袋を買う人もいるが…。
店員
「レジ袋は絶対にもらえません。以前はもちろんありましたが、4年前に法律で禁止されたんです」
日本では有料化され、今も使われているプラスチック製の「レジ袋」。そのほとんどの使用をバハマ政府は4年前、法律で禁止したのだ。
レジ袋は街中に放置されると、川などを通り海に流れ着く。海洋ごみのおよそ8割は街由来だ。海洋ごみは、海草の成長に必要な日の光を遮ってしまう。バハマでは、プラスチックを削減することで海洋ごみを減らし、海草に光が届くきれいな海を守っているのだ。
スーパーの客
「レジ袋がなくなっても困りませんでした。エコバッグの方が環境にいいんだから、そっちを使いますよ」
店員
「日本では、まだレジ袋を使っているんですか?」
桝太一キャスター
「エコバッグもあるけど、忘れたらプラスチックバッグを使う」
店員
「そうなんですね。バハマのスーパーとは違いますね」
◇
桝キャスターが訪ねた、バハマ在住の夫婦。「かわいい!ビューティフルハウス!」と桝キャスターが話す夫婦の自宅には…。
妻
「そこにエコバッグがあります」
大きいサイズや保冷バッグなど、入れるもので使い分けているという。
夫
「気をつけていなければ、海がプラスチックでいっぱいになってしまう」
妻
「バハマの海が大好きだから、次の世代のためにも守りたい」
夫
「世界のどこにもバハマのような海はないからね」
◇
豊かな“海の森”を守るバハマの取り組みは他にも。桝キャスターが観光客に人気のマーケットを訪ねると…。
桝太一キャスター
「ごみ箱がしっかりある。だからあまりポイ捨てがないのかな」
たくさんあったのは、ゴミ箱。およそ10メートル間隔で置かれていた。中心街はゴミ箱が多く、ポイ捨てされたゴミはあまり見当たらない。
10年前から毎年バハマを訪れているという、アメリカからの観光客は「昔はそこら中ごみだらけだった。たばこの吸い殻とかね。でも今は改善されて、すごくきれいになったよ」と話す。
バハマ政府は、数年前から首相肝いりの“国家プロジェクト”として、街の清掃活動を強化。こうした街のごみを減らす取り組みも海洋ごみを減らし、豊かな“海の森”を守ることにつながっているのだ。
取材の最後に出会った男性は、生まれてから60年以上をバハマで過ごしてきた。
男性
「何もしなければ、きょうはごみが1つでも明日には2つと、どんどん増えてしまう」
「この海を守るために、我々人間が何かをすべきなんです。ごみを出しているのは人間なんだから」
人々が海を大切に思う気持ち。それが、バハマの“海の森”を守っていた。
桝太一キャスター
「二酸化炭素を吸収する力を持つ海の森を守って増やしていく活動をお伝えしましたが、そういった活動も結局、ある程度お金がないと続かないですよね。そこでいま、活動を金銭的に後押しする仕組みもでき始めています」
「それが海の『カーボンクレジット』と呼ばれる取り組みです。これは、決まったルールに基づいて、海の森が吸収したCO2(二酸化炭素)の量を計算して、吸収した分をどうしても二酸化炭素の排出をゼロにできないという企業などに販売するんです」
「これによって、企業側としては出してしまったCO2をせめてプラスマイナスゼロにする埋め合わせができて、一方で活動している側としては資金を得ることで、さらに保全活動を継続して発展させることができるようになる、という仕組みなんです」
(6月9日放送『真相報道バンキシャ!』より)