“最も暑い夏”今年はさらに?……ラニーニャか 消費ダウンの TOP10、「パン」「米」なぜランクイン?【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「ラニーニャで“史上最暑”に?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●ラニーニャで何が起こる?
●猛暑が直撃 家計への影響は?
近野宏明・日本テレビ解説委員
「気象庁は今年の夏、猛暑の要因となり得るラニーニャ現象が発生する可能性が高まっていると発表しました。これが発生すると記録的に暑かった去年の夏を上回り、今年も史上最高に暑い夏になる可能性もあるそうです」
「17日午後4時半ごろの東京・渋谷の様子を見てみます。5月なのに夏っぽい日差しですよね。この日の東京都心の最高気温は27.2度、午後4時の時点でも25.2度あり、まだまだ暑いです」
近野解説委員
「17日も5月にしては暑いんですが、とにかく去年の夏は異常に暑かったです。気象庁によると、去年6~8月の日本の平均気温は、1898年に統計を取り始めてから 125年間で最も高くなりました」
「東京では7月6日~9月7日の64日間、(最高気温が)30度以上の真夏日が続きました。(最高気温35度以上の)猛暑日も22日あり、これも過去最多でした」
忽滑谷こころアナウンサー
「去年の夏は袖なしはもちろんのこと、私服は毎日へそ出しで生活していました。それくらい暑かったなと思い出します」
近野解説委員
「今年どうなるのか心配ですが…。さらに暑くなる可能性がある、その原因がラニーニャ現象です。南米ペルー沖の海水温が平年より低くなる現象で、これにより日本付近では夏は猛暑になり、冬は厳しい寒さや大雪になる傾向があります」
「よくセットで言われるエルニーニョ現象は、同じ海域の水温が高くなり、(日本の)夏は冷夏に、冬は暖冬になることが分かっています。ともに日本だけでなく世界の気候に影響を与える現象ですが、数年に1回程度発生しています」
「1949年以降、ラニーニャ現象は17回、エルニーニョ現象は19回発生。気象庁によると、今年はラニーニャ現象がこの夏にかけて発生する確率は50%、秋にかけては60%まで高まっているといいます」
山崎誠アナウンサー
「この数字を見るとかなり確率としては高いですよね。暑さで倒れる方はいらっしゃいますが、これからの時期は雨があります。大雨に見舞われた方々が避難所で酷暑に遭う、ということもあります。その辺りも心配ですね」
近野解説委員
「雨も心配ですよね。気象情報サイト『ウェザーニュース』の15日の発表によると、今年は全国的に梅雨入りの時期が平年よりも遅く、梅雨明けの時期が平年並みという予想です」
「具体的には、関東甲信なら平年は6月7日頃に梅雨入りし、7月19日頃に明けますが、今年は入りが6月中旬と遅く、明けは7月中旬と平年並みの予想です」
森圭介アナウンサー
「梅雨の時期がいつもより短いということですか?」
近野解説委員
「予想通りいけば、そうなる可能性が高そうですよね。一方で心配なのは雨量です。梅雨の期間の雨量は全国的に平年並みか多くなる見込みで、特に6月下旬~7月上旬は大雨に注意が必要だとしています」
森アナウンサー
「梅雨の期間が短いのに雨量は多いということですか?」
近野解説委員
「雨の日が多くなるのか、雨の密度が高くなるのか、ということが考えられますよね」
近野解説委員
「気を付けなければいけないポイントはお天気だけでなく、家計もです。猛暑になった場合に家計にどう影響するのか。第一生命経済研究所の首席エコノミストである熊野英生さんに聞きました」
「消費が増えるトップ10で1位は『他の飲料』で、スポーツドリンクやミネラルウォーター、炭酸水、野菜のジュースなど。4位の『茶類』と同様、熱中症予防に飲み物をとる人が増えているからだと思われます。2位の『電気代』も、エアコンを多く使うので納得です」
「不思議なのは3位の『たばこ』。熊野さんも理由はよく分からないそうですが、猛暑でストレスがたまって増えることも考えられます。5位の『他の被服』以下は『男子用シャツ・セーター類』『婦人用下着類』『上下水道料』『牛乳』『冷暖房用器具』と続きました」
「何か対策を取りましたか?」
刈川くるみキャスター
「『他の被服』になると思いますが、外で運動するので紫外線対策のパーカや目元近くまで覆うことができるマスクを、いっぱい洗濯しても使えるように、今のうちからたくさん買いだめしています」
近野解説委員
「逆に減るもののリストを見てみましょう」
忽滑谷アナウンサー
「2位の『卵』や5位の『果物加工品』など、食材が多いですね」
近野解説委員
「おそらく『卵』や8位の『塩干魚介』(干物)もそうですが、暑いから火を使いたくないという理由が考えられます」
森アナウンサー
「だから1位が『ガス代』なんですね」
近野解説委員
「4位は『パン』、9位が『米』です」
山崎アナウンサー
「暑くなって食欲が落ち、食べなくなるからでしょうか?」
近野解説委員
「違います。熊野さんによると麺類の消費が増え、その分パンや米の消費が落ちるからです。これは去年のリポートですが、今年も同じような傾向だろうと予測されています。3位は『寝具類』、6位は『乾物・海藻』、7位は『他の穀物』、10位は『加工肉』でした」
刈川キャスター
「消費が増えるもの、減るものと(それぞれ)ありますが、経済全体では夏はプラスになるのですか?」
近野解説委員
「熊野さんに聞きました。短期的にはプラスと言われていますが、中長期的にはどうなのか。飲み物や衣料品、もしかしたらレジャー関連などは短期的に消費は増えるかもしれません。ただ、『その効果は一過性だ』と熊野さんは指摘しています」
「半年後や1年後の気候変動の影響は予測しづらいものがあるからです。暑くて多く収穫できる野菜や果物がある一方で、日照りや干ばつがどこで起きるか分かりません。最近はオレンジの値段が大きく上がりましたが、いつ・どこで不作で高騰する物が出てくるか…」
「また、今は円安と物価高が非常に家計にダメージを与えています。高くても買わざるを得ないものを買うことで、購買力はどうしても落ちてしまいます。夏に一度消費がぐっと拡大しても、秋以降に消費が落ち込むのではないかとみています」
森アナウンサー
「我々は『今日暑かったね』と話すだけで短期的に見ちゃいますけど、長期で見ると経済に与える影響は深刻なんですね。災害級の暑さという言葉がありますが、地震と違って予測ができる分、なるべく早めに対策をしておきたいなとは思いますね」
近野解説委員
「暑さそのものと家計のやりくり、どちらも先を見据えての対策が重要になってきそうです」
(2024年5月17日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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