【りおなちゃん】「自分で足の治療費を稼ぎたい」……7歳の秘めた思いに両親は? 再生医療を再開 心の支えはYouTube 『every.特集』
パパへの厳しいツッコミ動画が話題の、りおなちゃん(7)。背骨が曲がる病気を患い、その手術の影響で下半身にマヒが残っています。YouTubeの応援を支えに再生医療のリハビリに励み、新しい挑戦も始めました。家族の奮闘に密着し、思いを聞きました。
「今何の時間?」と鋭いツッコミ。お父さんが「今パパ、ごろごろ時間よ。ご飯食べて…」と答えると、「今周り見てみ? 今横になる時間じゃないやろ?」と諭すように言います。
「ごめん!」と謝るお父さんに、りおなちゃんはかまわず「いや、ほんとに注意しよんで?」とたたみかけます。
パパにキツいツッコミをするのは、りおなちゃん(7)。登録者数が約129万人(4月5日時点)という人気者のYouTuberです。
日ごろの生活は、車椅子。every.は、去年の春から密着取材を続けています。
今年1月、家族との初詣にもお邪魔しました。「足が治りますようにって、神社に行った時は毎回お願いする」とりおなちゃん。願い事の後は、おみくじです。
「だい! え? 大吉~! 大吉出た〜!」と大喜び。幸先の良いスタートを切ったお正月でした。
りおなちゃんは2歳半の時、背骨が左右に湾曲しねじれを伴う、側弯(わん)症と診断されました。4歳半で急激に進行したため、リスクを承知で手術を行います。側弯症の進行は止まりましたが、手術中に脊髄を圧迫したためか、胸から下にマヒが残りました。
去年11月。自宅のある愛媛から5時間かけて、大阪の病院へ向かいました。去年秋から、新たな治療である「再生医療」に取り組んでいます。
貴宝院永稔医師
「どうですか体調は?」
りおなちゃん
「元気です」
貴宝院医師
「体の感覚とかはどんな感じ?」
りおなちゃん
「んー、あんまり変わってない感じ」
貴宝院医師
「足ビクビクビクってする感じも自分で分かる?」
りおなちゃん
「感覚はやっぱない…」
再生医療は、培養した自分の細胞を点滴で体に戻し、同時にリハビリを行って脳や脊髄などの損傷の回復を狙う治療法です。
「曲げてー、力抜いて」という声に合わせ、ベッドの上で頑張るりおなちゃん。リハビリは月に1度、約1時間にも及びます。
「はぁ、はぁ、疲れた〜。あんまり大きな変化はないけど、ちょっとずつ…」と、りおなちゃんは言います。
この時の再生医療は3か月でひと区切りとなりましたが、母の佳寿美さん(35)は「今のところ、これといった大きな変化は感じられてはいなくて、本人の中で焦りみたいなものが最近結構あって、つらいみたいな時も最近ちょっと出てきてます」と明かします。
なかなか成果が出ない再生医療。このまま続けるかどうか、家族で悩んでいました。
そんなりおなちゃんの支えが、YouTubeです。動画を見た人から「すてきな人生を送ってほしい」「毎日笑顔と感動をもらっています」など、たくさんの応援コメントが届きます。
りおなちゃん
「みんなからもっと気づいてくれるようになったりとか、応援されるようになった」
お母さんには、本音をもらしていたといいます。
佳寿美さん
「『YouTubeをもしやってなかったら、私ってどうなってたんだろう』っていうことを話してて、『誰にも応援されなくて1人だったらこんな風に頑張れなかった』と言っていたので。応援してもらったり有名になることが娘の心の支えになっているんだなとは感じます」
そんな中、新たな挑戦を始めました。ある日の夜、りおなちゃんとお母さん2人で何やら打ち合わせかと思ったら、こんなやり取りをしていました。
「早速やけど、社員面談やるんで誰々さん呼んでもらえる?」「やると決まったからにはやる、わたしはそういう女。それがりおなよ」
流し目のポーズを決めるりおなちゃん。一体、何をしているんでしょうか。
翌日一家が訪れたのは、女性用下着の開発やプロデュースを手がける企業が愛媛で展開するサロン。これから、企業を紹介する動画を撮影するといいます。
「3、2、1、スタート」「早速研修を始めます。会社の理念は何でしょう?」というかけ声に合わせ、りおなちゃんは「はい! 全ての女性の願いをかなえる会社です」と語り始めました。
前の晩はお母さんと、この動画のための練習をしていました。見学していた父・裕一さん(36)が「表情柔らかく、柔らかくいかな。柔らかく!」と注文すると、りおなちゃんは「もー! パパのところカットでお願いします」。仲良し家族の姿が垣間見えました。
「やると決まったからにはやる、わたしはそういう女。それがりおなよ」
一生懸命練習したシーンも見事にこなしました。
りおなちゃんの新しい挑戦を支える両親には、思いがありました。
母の佳寿美さん
「娘が実際に大人になって働いて自立していくっていうことが実現できるのかっていう不安はまだ、自分の中にあるので…」
父の裕一さん
「社会経験としてありがたいことに経験させてもらえるけん、それも娘の何かに将来的に役に立つところになったらええかなと思って」
1月にはお母さんと2人で、初めての本『今日もさわやかに麗しく生きていきましょう』(出版:KADOKAWA)も出しました。両親はりおなちゃんの未来のために、なるべく多くの選択肢を作っておきたいと考えています。
一方、りおなちゃんが仕事を受けるのには、ある秘めた思いがありました。
「私の足の治療費がすごくかかるから、だからママとパパのお手伝いをしたいから、自分で足の治療費を稼ぎたいなって思ってるから、仕事をやってお金を稼ごうとしてる」
りおなちゃんがこう言うと、佳寿美さんは「そういうこと思ってるのかな、とは思ってて…」と言葉を詰まらせました。
裕一さん
「そんなこと考えんでええって」
りおなちゃん
「でも…大変でしょ?」
佳寿美さん
「大丈夫、大丈夫」
りおなちゃんは、両親の負担を思っていました。
家族の絆はしっかりとつながっています。そして今、家族は悩んでいた再生医療を再び始めています。
希望がある限りは挑戦しよう――。それが、家族の出した答えです。いつか歩けるようになるその日まで、家族一丸となっての奮闘は続きます。
(4月16日『news every.』より)