イチゴの溺愛ソングを自作!“イチゴ愛”溢れる赤髪パパの正体とは?
赤いモヒカンヘアの男性が、バリカンとカミソリを使ってカットされること1時間30分。男性の頭に描かれていたのは、イチゴのマークと“BIG BERRY”という英字。「一応仕事関係で入れました」と笑顔で話す、男性の“意外な仕事”とは…?
男性の正体は...イチゴ愛に溢れる“イチゴ農家”
「あれ、イチゴじゃん!?」と、家族も驚きの“イチゴヘア”の男性。職場に案内してもらった先にあったのは“イチゴ”。男性の正体、それは「イチゴ農家」!
イチゴ農家の酒井久憲さん、32歳。岡崎市内で「紅ほっぺ」を育てている。斬新なヘアスタイルについて酒井さんは、「イチゴをアピールしたいという思いで、こういうヘアスタイルにしています。イチゴのシーズンは赤色で、苗を育てるシーズンは、緑色という風に決めている」と話す。
1粒約300円!? 「紅ほっぺ」の甘さが味わえる“でかほっぺ”
イチゴ愛が溢れる酒井さん、今日は朝から大忙し!取材に伺うと、テレビのカメラや新聞記者らに囲まれていた。「今日は、“でかほっぺ”の最初の収穫日なので、テレビの方がたくさん来ています」と話す酒井さん。
「でかほっぺ」とは、毎年1月頃に収穫される「紅ほっぺ」の変形した形として発生する巨大イチゴ。一般的な「紅ほっぺ」は15~20gなのに対して、「でかほっぺ」はなんと70g以上。大きいもので、170g以上のものもあるそうだ。
酒井さん曰く「大きすぎるイチゴは下の階級」だったというイチゴの出荷事情。美味しいにも関わらず低価格で売られていたが、3年ぐらい前から農協が大きなイチゴを“でかほっぺ”としてブランド化。元々の美味しさも相まって、“でかほっぺ”は以前の倍近くの価格となる1粒約300円で売られることもある人気商品へと飛躍した。
農家は「ぜったいイヤ」が一転!イチゴ農家へ転身
イチゴ農家の4人兄弟の次男として生まれ、幼い頃から収穫などを手伝っていた酒井さんだが、実は“イチゴ農家だけには絶対になりたくない”と思っていた。「毎日イチゴも(食卓に)出てくるし、すごく(親から)手伝えと言われて。それが嫌で、イチゴ農家だけは絶対なりたくないなと思っていた」と当時を振り返る。
そのため、一度はサラリーマンとして就職。しかし、初めて給料をもらった時、農業で4人の息子達を育て上げた両親の凄さを実感。酒井さん曰く「子どもたちをイチゴだけで、食べさせるってちょっとかっこいいな」と感じ、イチゴ農家を目指し始めた。去年10月からは両親から農家を受け継ぎ“社長”へ。現在は、家族とパート従業員、合わせて9人で63アールという広い面積で、紅ほっぺを育てている。
斬新なヘアスタイルからもイチゴへのアツい想いが溢れ出る酒井さんだが、“イチゴ愛”が強いあまり、なんとイチゴを歌ったオリジナルソングまで制作。オリジナルソングは、JAまつりなどで披露されている。
そんな“イチゴ一筋”な酒井さんを家族も応援。息子・天助くんは「かっこいいです」と父の魅力を嬉しそうに話す。また、妻・美咲さんは「(夫は)自分がこの土地を離れたら、イチゴの苗の様子が見られないからと言って、鹿児島に帰った時も1泊で帰る。それ(イチゴ)しか考えられなくて、他のことがおろそかになるぐらい」とイチゴにまつわるエピソードを明かした。続けて、「(それでも)イチゴ愛にあふれている彼が好き」と夫の一途な仕事っぷりに笑顔をのぞかせた。
家族に支えられながら、イチゴ愛を貫く酒井さん。今後の目標については、「子どもたちが僕のイチゴを食べて、『おいしい』と言ってくれるのがすごく嬉しい。『でかほっぺ』もそうですが、岡崎産のイチゴがもっと全国的に有名になっていけばいいかなと思います」と語った。