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ぎゅうぎゅう詰め“ゆとりーとライン” 志段味地区の人口が倍以上に増加 増便したくても「バス製造のノウハウがない」

2024年7月5日 20:16
ぎゅうぎゅう詰め“ゆとりーとライン” 志段味地区の人口が倍以上に増加 増便したくても「バス製造のノウハウがない」
大曽根から高蔵寺をつなぐゆとりーとライン
中京テレビ「あなたの真ん中取材班」に、こんな声が寄せられました。

ゆとりーとラインが大変なことになっています。昭和の山手線を越えるような状況で、 通学したい小学生なども押しつぶされながら耐えています」

そこで取材班は現場に直行。ゆとりーとラインの現状を取材しました。

乗客に「ゆとり」なし 朝はぎゅうぎゅう詰めで乗れないことも…

7月4日午前8時ごろ、名古屋市守山区にあるゆとりーとライン「金屋駅」。バスを待っていた人たちに話を聞いていると、1台のバスが到着しました。車内はかなり混雑しています。

バスを待っていた男性が乗り込もうとしましたが、ぎゅうぎゅう詰めで乗ることができず、あえなく一本見送り、次の便を待つことに。次に来たバスもかなり混雑していましたが、男性はようやく満員のバスに乗ることができました。

一番多い時間帯だと2分に1本の間隔で運行していますが、それでもぎゅうぎゅう詰め。乗客は「50mくらい並んでしまうときもありますね」「小さな小学生とかも足を引っかけて体を中にきゅっと入れて(乗る)」と、毎日かなり混雑すると話します。

ゆとりーとラインは、大曽根から高蔵寺をつなぎ、高架レールと一般道の両方を走行できる、日本で初めてのバス。案内輪という装置を使い、鉄道のようにレール上を走ることができるのです。渋滞の影響を受けない快適さから「ゆとり」と名付けられましたが、現在、乗客たちに「ゆとり」はないようです。

志段味地区の人口増加で朝の通勤通学の時間帯が激混み

ゆとりーとラインがこれほどまでに混雑する原因は、いったい何なのでしょうか…?

名古屋市によると、ゆとりーとラインが走る志段味地区では大規模な住宅地の開発を行っていて、人口が爆発的に増加。2007年と現在の写真を見比べると、緑の田畑があったところに、住宅地などが立ち並んでいるのがわかります。

ゆとりーとラインの開業当時には約1万6000人だった人口が、今は4万人近くに。ここ数年でも毎年1000人ほど人口が増え続けているといいます。

名古屋ガイドウェイバス 林史彦さん:
「守山区は地下鉄がない区で、地下鉄に変わる交通機関として整備をしていました。想定以上ではないですが、特に朝の通勤通学のときは最大限の車両をもっても今いっぱいいっぱいという状況です」

ただ、簡単には増便できない事情もあるようで…。

自動運転の新型車両導入で解決なるか?

開業当時に比べて運行を増便しているのですが、さらに増やしたくても増やせない大きな問題がありました。それは、バスの製造のノウハウがなく車両が増やせないこと。

ゆとりーとラインは、道路とレールの両方を走ることもあって、普通のバスとは違い、特殊な安全装置がついています。しかし、その装置を製造した技術者が定年などで退職し、ノウハウが残っていないというのです。いちから作ることはできるのですが、非常にコストがかかり現実的ではありません。

その解決策として検討されているのが、自動運転の技術を使った新型車両の導入。自動運転だと安全装置がなくても走行ができ、今、注目の技術だけあって長い目で見ればコストダウンも考えられます。さらに、自動運転であれば運転士不足の解消にもなるとあって、すでに実験も始まっているということです。

混雑解消に向けて動き出していますが、実際に導入されるまでにはもうしばらく時間がかかりそうです。それまでは少し早起きして混雑する時間帯を避けるなど、なにか工夫をしてみるのもいいかもしれません。

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