野菜をまるごと味わう特製メニューにちょっとおトクな買い物スポットも! 食品ロス削減に向けた自治体の新たな取り組みとは
環境省によると、日本の食品ロスは約523万トンに上るといいます。これは、一人あたりお茶碗一杯分を毎日捨てている計算になります。こうした食品ロスを減らそうと、いま自治体では様々な取り組みを新たに始めていました。
今回は「使い切る」「賞味期限」「減らす」の3つをキーワードに、米澤かおりキャスターが取材してきました。
まずは「食材を無駄なく使い切る」ことで食品ロス削減に取り組んでいる埼玉県庁の食堂に行ってみると…
埼玉県庁第二職員食堂 天野善弘店長
「お待たせしました。皮つき根菜のポトフです」
米澤かおりキャスター
「ポトフ? こちらが食品ロスの削減につながるんですか?」
埼玉県庁第二職員食堂 天野善弘店長
「(根菜の)皮の無駄が一切出ませんので」
埼玉県庁の食堂で提供していたのは、ご飯と小鉢もついた根菜たっぷり! フランクフルトとまるごと根菜のポトフ630円。しかも、中の具を見てみると、普段捨ててしまうような野菜の皮も使ったサステナブルなメニューです。調理の時、どうしても出てしまう”野菜のくず”を減らそうと始まった取り組みで、皮を厚く切ってしまうなどの過剰除去を減らすことにもつながるといいます。
捨ててしまう事が多い根菜の皮、どんな味なのでしょうか。
米澤かおりキャスター
「ん~! 味しみしみ。皮も意外に気にならないです。皮のほうに風味がより強く残っている気がする。すごくおいしいです」
メニューは提供する日によって違っていて、様々な味を楽しむことができます。
さらに家でも作れるように協力している食品会社のホームページでレシピを公開しています。
埼玉県環境部資源循環推進課 中野 真理子さん
「ふだんなにげなく捨てている食材も、こんなにおいしく食べられるんだなということを知っていただき、驚いていただきたいと思っています」
続いては「すぐ食べるときは賞味期限が近いものから購入」です。今年4月、東京・台東区では未開封のまま捨てられてしまう食品を減らそうと、都内の自治体では初となる“あるもの”を区役所に設置しました。
台東区役所環境清掃部清掃リサイクル課 高畑信子係長
「まだおいしく食べられるのに廃棄する予定となってしまった商品をお得に購入できる無人販売機、Fuuboというもので」
賞味期限が近づいたものや、季節外れの食品を小売店やメーカーなどから仕入れ、通常の約3割から5割引きで販売しています。(※開発・運営は台東区の企業)
購入の手続きは、販売機の専用ホームページから行います。そして、指定されたアドレスからカメラを起動して、販売機の二次元コードを読み込むと取り出せる仕組みになっています。
台東区役所環境清掃部清掃リサイクル課 高畑信子係長
「まず設置をきっかけに食品ロスにご興味を持っていただくというのが、一番効果を期待するところかな、というふうに思っております」
全国の商業施設などにも設置されている、こちらの販売機。台東区の場合は、地元の生産者と連携しているために、ここならではの商品も買うことが出来ます。
そして3つ目のキーワードは、“食べ残しの削減”。
杉並区で10月から新たに始まったのは、希望する飲食店に向けた持ち帰り容器の配布です。
飲食店で多い、注文した料理の食べ残し。その持ち帰りを普及しようと始まった取り組みで、現在は杉並区内の51店舗が容器を準備しています。
(2023年10月22日時点)
実際に配布されたお店に取材をしてみると、以前は希望する客へ20円で提供していたそうですが、現在は、無料で提供できるようになったといいます。
ティファニー 籠宮汐海店長
「お客様も残してしまったという心の負担にもならないと思うし、こちらも食べていただけるのはすごくうれしいので、どちらにとってもハッピーかなと思います」
おいしく食べて、食品ロス削減に貢献できる自治体の取り組み。今後も広がりを見せそうです。