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「鎮魂」と「復興」の祈りを込め作られた巨大な竹の曼荼羅が希望の光を放つ阿南市の平等寺【徳島】

2024年3月1日 19:44
「鎮魂」と「復興」の祈りを込め作られた巨大な竹の曼荼羅が希望の光を放つ阿南市の平等寺【徳島】
能登半島地震発生から3月1日で2か月ですが、被災地ではいまだ先の見えない日々が続いています。

こうした中、2024年2月、徳島県阿南市の四国霊場22番札所・平等寺で、能登半島地震の犠牲者供養、そして早期復興実現への願いも込められた「曼荼羅」が完成しました。


阿南市新野町四国霊場第22番札所・平等寺。

2月29日の朝も、早くから次々と参拝者が訪れ、厳かな雰囲気に満ちています。

夜の帳が下りると普段は暗闇に包まれる境内ですが、今は少し様子が違っています。

闇の中を優しく照らすあたたかな

その正体は、町の特産である、そして「光のまちあなん」の象徴ともいえるLEDを組み合わせて製作された、巨大な竹曼荼羅です。

2024年2月10日、完成したこの竹曼荼羅の開眼法会が開かれ、地元住民らに加え制作に携わった人々がその様子を見守りました。

境内の一角にそそり立つこの巨大な曼荼羅は、仏の知恵の働きを表現した「金剛界曼荼羅」と、仏の慈悲の心を表現した「胎蔵界曼荼羅」の2つから成ります。

10cm四方の正方形にした竹約5800枚を組み合わせていて、高さは6m、横幅は2つ合わせて12mにも及ぶ、巨大な曼荼羅です。

この曼荼羅を作ろうと考えたのが、平等寺の谷口真梁住職です。

(四国霊場22番札所平等寺 谷口真梁住職(45))
「2020年ごろ、コロナが始まったころ。あのころからなかなか皆さんがお参りにお寺に来れなくなってしまった。いつかコロナが終わったときに、みんなで集まって何か一緒に作れたらねという所から、話が始まったと記憶している。新型コロナ感染症の犠牲者追悼のための曼荼羅を建立できたらねとなっていった」

思い立ったのは4年前でしたが、なかなか実際の作業には至りませんでした。

(四国霊場22番札所平等寺 谷口真梁住職(45))
「作業を始めたのは、半年ぐらい、去年の夏以降になるかと思う。この曼荼羅の図案を作ったり、竹のパネルに曼荼羅の絵柄を焼き印したり、そして最後に穴を開ける」

制作に参加したのは、のべ250人ほど。

地元住民だけでなく、平等寺が行うライブ配信を、リモート参拝している人たちの協力も大きかったそうです。

(四国霊場22番札所平等寺 谷口真梁住職(45))
「県外の人が多くて、関東の人や北海道の人、南は沖縄の人もいます。日本全国の色んな人の協力のもと、できたと思う。本当に日本中の参拝者の皆さんが、力を合わせて作った曼荼羅。パネルを一つ一つ裏返すと、それぞれの願い事が書いてあって、みんなの願いが詰まったものになっている。(Q.遠隔地の人で来れない人がいる場合、パネルを送って?)郵送しまして。『この日までに穴を開けて送り返してください』みたいな形で。急ぎの、あまり日がない状態で送り、『あと3日で100枚?』みたいな人もいましたけど。多分ですけど、調査したことないのですが、史上最大の種字曼荼羅だと思います」

コロナで亡くなった人たちの供養のためにと作り始めた曼荼羅は、2023年末に1つが完成しました。

しかし、2024年、新年を迎えると。

(四国霊場22番札所平等寺 谷口真梁住職(45))
「そうこう言っている間に、能登半島地震が発生して、これは大変なことになったなと。最終的には、能登半島地震の犠牲者への供養、そして早期復興の成就という願いも加えての曼荼羅(作り)となった」

能登半島地震発生を受けて、制作に携わる人たちの想いも変わっていったと言います。

(四国霊場22番札所平等寺 谷口真梁住職(45))
「今までは感染症の犠牲者ということだったから、供養という意味がすごく強かった。もう少し、現実に大変な思いしている人がたくさんいる中で、何とか少しでも、もちろん祈りなので、直接的にすぐ何かが起きるわけではないけど、皆さん思うところがあったのだと思う。すごく頑張ってくれた」

2月10日の開眼法会に集まった人たちは、竹曼荼羅の壮大さ、華麗さに圧倒されつつも、鎮魂と復興への想いを強くしていました。

そして制作に携わった県外の人もこの日、平等寺を訪れていました。

(埼玉県の人)
「他人事ではないと思う。いつどこで地震が起きてもおかしくない日本に住んでいる。被災者の気持ちになって物事を考えていかなきゃいけない、いま自分が何ができるかを考えるようになった」

(神奈川県の人)
「このような機会があって、私も(竹の)裏に、『被災地の早期復興』といったことを書かせてもらった。早く、皆様が復興すれば良いな、被災地の方々の苦しみが少しでも和らげばいいなと思います」

(四国霊場22番札所平等寺 谷口真梁住職(45))
「仏様の光、祈りの光なので、この光でもって、少しでも世界が明るくなるようにという想いで作らせてもらった。皆様の想いもこもっていて。この光を少しでも見た人が、明日への新たな活力になれば良いのかなと思っている」

平等寺に灯された竹曼荼羅の光。

それはきっと、鎮魂と復興に向け世界を包む希望の光になることでしょう。


※平等寺の竹曼荼羅は、毎日午前5時45分から6時15分までの30分間と、午後6時から午後10時までの4時間点灯されています。
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