知ってますか?「びちクッキング」 簡単!美味しい!備蓄食材でクッキング「しほママの目からウロコの防災術」
防災士の柳原志保さんと楽しく防災を学ぶ「しほママの目からウロコの防災術」です。
最近は残暑もやわらぎ過ごしやすい季節になりましたね。秋といえば、「食欲の秋」ということで、きょうのテーマはこちら!
災害に備え備蓄している食料品を美味しくいただく「びちクッキング」です。「びちクッキング」とは、「備蓄」と「クッキング」を合わせた造語です。今回、災害時の食に詳しい方にいろいろと教えてもらいました。
■柳原志保さん
「今回は、熊本県栄養士会災害支援チームのお二人に来ていただきました。よろしくお願いします」
管理栄養士の資格を持つ田中裕子さんと田中祐喜さん。
2人は災害で被災した人に対して栄養面や食生活の支援を行う災害支援チームのメンバーで、熊本地震や熊本豪雨の時も食事面からサポートした経験があります。
2人もおススメの「びちクッキング」。材料となるのは、もしもの時のために家庭で備えている食料品です。
私も普段から少し多めに買い置きすることで、常に一定の量を備えておく「ローリングストック」を実践しています。
今回は管理栄養士の視点で食材を選ぶ場合、心がけていることについて田中さんに聞きました。
■田中裕子さん
「体を動かす時のエネルギー源になるパンとか、ご飯・麺とかで保存ができるものをまずは準備することをおすすめします。 それから、体を作るもととなるたんぱく質。筋肉の材料になるので、不足すると体力が落ちてしまうのでおすすめ」
さらに、食物繊維やビタミンがとれる野菜ジュースなども備えておくと安心です。
■柳原志保さん
「私が被災した東日本大震災の時の避難所では、パンなどが続いて便秘になってしまったが、熊本地震の時の避難所はどうでしたか?」
■田中裕子さん
「避難所をまわると、お肉とか魚とか野菜が食べたいという声はたくさん聞いていました。普段からそれぞれの家庭で、肉の缶詰や魚の缶詰、野菜がとれるような備蓄品を備えておいてもらえれば」
ただ、備蓄している食料品も賞味期限があります。もちろんそのまま食べても美味しのですが、今回はこちらの食材で作れる簡単「びちクッキング」を教えてもらいます!
まず作るのはミネストローネ。
材料
▽野菜ジュース
▽豆ミックス
▽やきとり缶
やきとり缶に味がついているので調味料もいりません。ちなみに、やきとり缶は醤油ベースのたれ味がおすすめだそうです。
今回は2人分作っていきます。
まずはすべての材料を鍋に入れます。やきとり缶はタレも残さず入れて下さい。
あとは火を付けて、ぐつぐつするのを待つだけです。今回は火を使いましたが、耐熱性のボウルに材料を入れて、電子レンジでも作ることができます。
続いてはライスボールを作ります。
材料
▽アルファ化米
▽うずらの卵の水煮
▽卵
▽小麦粉
▽パン粉
▽ケチャップ
アルファ化米は何味でも大丈夫ですが、今回は田中さんおすすめのエビピラフ味で作ります。
まずはアルファ化米を作ります。袋の内側にはお湯や水を注ぐラインがあるので、そこまで水を注ぎます。
封をしたら、パッケージに書かれている時間おいて完成です。
できあがったご飯にケチャップを入れてよく混ぜます。しっかり混ざったら5等分して、ラップの上へ…スプーンを使って平らに伸ばします。
■田中祐喜さん
「伸ばしたご飯の上にうずらの卵を置いてください。重要なたんぱく源になるので」
うずらの卵の代わりにチーズなどを入れるのもおすすめだそうです。
ここから衣をつけていくのですが、田中さんの一工夫が…。
■田中祐喜さん
「これを小麦粉に入れることが多いんですけど、せっかくラップを使っているので、小麦粉をかけてもらってもいいですか?」
ラップを持ってコロンコロンしてください」
(ラップの上の丸めたご飯に小麦粉をかけ、ラップを持って転がす)
手を汚すことなく衣をつけることができます。
この後、卵とパン粉をつけたら、180℃の油で衣がこんがりきつね色になるまで揚げていきます。
揚げている間にトークタイム。熊本地震の時は兵庫県から応援にかけつけた田中祐喜さん。
県庁に入り、乳幼児や慢性疾患・アレルギーがある人など、配慮が必要な人のための食品を支援物資の中から選んで各避難所に分ける仕事をしていました。当時、田中さんが強く感じたことがありました。
■田中祐喜さん
「避難所には最初からは準備されていないことが多いので、特に要配慮者は、自分で準備していただくことが大切だと感じた」
そんな話を聞いているうちに、ライスボールが揚がりました。
あっという間に完成しました。
気になるお味は…?
■柳原志保さん
「味がしっかりしみこんでいる。もともとピラフなので、何も付けなくても美味しい」
アルファ化米というとパサパサしているイメージもあるかと思いますが、ケチャップの水分があってか、全く気になりませんでした。
続いてミネストローネをいただきます。
■柳原志保さん
「やきとりのだしが効いているのかなと思います」
やきとりのタレと、トマトの意外な相性の良さで、トマトが苦手な私でも美味しくいただけました。
備蓄食材を普段から食べることで「フードロス」につながるだけでなく、こんなメリットもあります。
■田中祐喜さん
「災害の時が特別ではなくて、日常でできていないことは災害の時にもできません。災害の時の食事を考えるきっかけになればと思います」
災害のために備蓄している食料品を使って、家族みんなで料理することで防災について考える時間にもなりそうです。
★しほママ格言★「おいしく食べることは生きる活力!」
おいしく食べることは、災害時にも生きる活力になります。「びちクッキング」と検索すると、農水省をはじめ、たくさんのレシピが掲載されているので、好きなレシピを試してみましょう。