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華道界の「イケてる存在」不規則な曲がりの茎が特徴的な"くまもと踊る丹頂"

2025年3月3日 20:05
華道界の「イケてる存在」不規則な曲がりの茎が特徴的な"くまもと踊る丹頂"
くまもと踊る丹頂

茎の1本1本が異なる曲がりを見せる「くまもと踊る丹頂」という県特産の花。ことしも全国から熱い視線が送られています。

■松﨑武司さん
「ボリュームも品質も良い品物が仕上がっています」

熊本市西区の松﨑武司さん(58)です。「くまもと踊る丹頂」を栽培している、数少ない生産者の1人です。

「丹頂」は、ネギ属の花、アリウムの一種で、花の部分が赤いものを指します。さらに丹頂の茎を不規則に曲げたものを「くまもと踊る丹頂」といい、茎が真っすぐなものの約2倍の値段で取り引きされています。

■松﨑武司さん
Qどうやって曲げるんですか?
「そこはあの言えないというか門外不出の所がありまして」

曲げの方法は門外不出。熊本県産だけが全国に流通しているんです。またその見た目から、華道などでは作品のアクセントになるとして人気を集めています。

■岡本花店・岡本正幸さん(57)
「微妙にこの曲げですね、曲げがきれいというかですね、なかなか珍しくてなんか面白いですよね。それとこういったところも可愛いですよね。丸い感じですね。生け花の花材としてもですね、多分重宝されていると思うんですよね」

30年前からアリウムを栽培している松﨑さん。茎が曲がった丹頂は、昔から高い値段が付いたため、手作業で1本1本曲げていました。しかし、人工的な曲げは似た形になるうえ、労力も価格に見合わないとしてつくる人がいなくなったといいます。

そんななか、今から20年ほど前、松﨑さんらは茎を不規則に曲げる方法を見つけ出し、5年ほどかけて装置を開発。独自の技術で2022年にはオランダで開かれた国際園芸博覧会の球根類部門で銀賞を受賞するなど、独創性と品質が高く評価されるほどになりました。

■松﨑武司さん
「くまもと踊る丹頂を熊本の特産品という形にもっていきたい」

ことし1月には、農水省のGI地理的表示保護制度の登録産品に。つまり「夕張メロン」や「米沢牛」のように、産地と結びついた品質や社会的評価を備えた農産物と認められたのです。花としては全国で4番目、県内の農産物としては10番目の快挙です。

「くまもと踊る丹頂」はこれから6月中旬にかけて46万本が出荷されますが、需要の高まりに対して、供給が全く追いつかない状態。松﨑さんらは門外不出の栽培技術を伝え、いま農家は21人に増えましたが、まだまだやる気のある農家に広げていく考えです。

■松﨑武司さん
「消費者の方はまだまだ多分この花自体を知らない人が多い。そんな中で少しでも認知度を広げていって使って楽しんでもらえたらいいなと思います。敢えて熊本にこだわって熊本の地で生産して生産者も増やしていけたらいいなと思っています」

最終更新日:2025年3月3日 20:05
熊本県民テレビのニュース