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【特集】弘前でりんごのビール誕生 ビールに秘められた歴史とは?

2024年9月5日 18:06
【特集】弘前でりんごのビール誕生 ビールに秘められた歴史とは?

この夏、弘前市に新しいビールが誕生しました。原料に使われているのは、県産りんご。このビールに秘められた、150年前の青森りんごの歴史とは?

先月17日に発売されたばかりの「RINGO CRAFT LAGER」。県産りんごで作られたクラフトビールです。早生種の「つがる」と栽培数が少ない希少りんごの「華宝」の果汁が使われ、りんごの風味の中に程好い苦みが際立つ軽やかなタイプに…

晩生種の「王林」と「ふじ」を使用した、コクが深く重厚感のあるタイプ。全く違った2種類の味わいを楽しむことができます。

そして、目を引くのがこの缶のデザイン。「サムライリンゴ150thイヤー」の文字と鎧兜を身に付けた武士の絵柄です。このデザインの意味を伺いにビールを発案した弘前市のりんご農家を訪ねました。

広さ2.5ヘクタールの園地で、5代にわたってりんごを栽培している工藤貴久さん。青森りんごの生産指導を農家に行う、青森県りんご協会の技師でもあります。なぜ工藤さんはりんごのビールを作ることを思い立ったのでしょうか?

★工藤貴久さん
「ことしが青森にりんご(栽培)が伝わって150年目なんです 来年が150周年になるので、その1年前から盛り上げていきたいと思いました」

来年は、青森りんごにとって記念すべき年なのです。

★工藤貴久さん
「明治8年にりんごが入ったのですが、その頃のりんご(栽培)というのは、士族の失業対策の一環でもあったのです 実は私の先祖が士族だったものですから、それをイメージしたデザインにしてみました」

ビール作りを発案した工藤さんは弘前藩士の子孫なのです。それを裏付けるものが工藤さんの自宅にはたくさん残っています。何振も保存されている刀の中で、こちらは実戦で使われたものだそう。

★工藤貴久さん
「これみたいですね、刀匠の方が話していました」

数々の古文書も、大切に保存され受け継がれています。中にはこのようなものまで、火縄銃です!

★工藤貴久さん
「これを鑑定してくれた方がいて、たぶんこれは箱(函)館戦争で使われた銃じゃないかなという方がいらっしゃいました」

大政奉還を経て時は明治になり、廃藩置県で職を失った多くの弘前藩士に、弘前藩最後の藩主・津軽承昭公は、

★工藤貴久さん
「古い記録を見ますと 帰農と言って「帰る」「農」と書くのですが(旧藩士たちに)農業をやらないかと勧めるのです」

禄高に応じて与えられた土地で、この「紅魁」というりんごが初めて実をつけました。これが、旧弘前藩士によるりんご栽培のルーツと考えられているそうです。工藤さんと共にビールを開発した地元の酒店を営む加藤貴大さんです。

★加藤酒店代表 加藤貴大さん
「クラフトビールというのは人の思いとかストーリーをビールに乗せてどういう風に表現するかという 青森りんごのこれまでの思いというようなものを乗せるには非常にいい提案だなと思いまして それをどういうふうにビールで表現するかということを考えました」

先週末、加藤さんの店で「RINGO CRAFT LAGER」のお披露目会が開かれました。この日は20人ほどが残暑厳しい中りんごのビールでのどを潤しました。

★お客さん
「りんごの風味というのもあって飲みやすい感じ 作った方の思いとかが込められているものだと思いますので、すごくいいものが出来たなと思います。」
「すごくフルーティーで、すごくおいしいです 飲みやすくて 来年150周年ということなので りんごも弘前ももっと盛り上がっていったらいいなと思います」

ビールが完成した時工藤さんは、

★工藤貴久さん
「すぐご仏前にあげさせていただきました」
「面白いことをやったよって!今回ビールというまた新しいツールでたくさんりんごで楽しんでいただければと思います」

明治から令和へ。青森県のりんご産業発展にかける「サムライの精神」はビールの開発という新しい形で脈々と受け継がれています。

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